「ゆるふわ提案」撲滅法

大舘 仁志のプロフィール画像
コンサルタント 大舘 仁志

2,720 view

ビジネスの現場で、「ゆるふわ提案」と呼べるような曖昧なコミュニケーションがしばしば見受けられる。これは単に選択肢を並べるだけの提案や、メリット・デメリットを羅列するだけの説明のことを指す。

提案型コミュニケーションとは、具体的な判断を提示するものだと思う。

「どっちが良いですか?」は論外

まず、最も避けるべきは「A案とB案、どっちが良いですか?」というような単純な二択を迫るコミュニケーションだ。これでは、相手に判断を丸投げしているに等しい。提案する側として、自分の考えや判断を示さないこの方法は、プロフェッショナルとしては論外と言えるだろう。

メリット・デメリットの羅列だけでは不十分

次のステップとして、「A案のメリット、デメリットは~、B案のメリット、デメリットは~。ではどっちが良いですか?」というアプローチがある。一見、提案している風にも見えるが、これも提案型コミュニケーションとは言えない。なぜなら、ここでも最終的な判断を相手に委ねているからだ。

提案型コミュニケーションの本質

では、適切な提案型コミュニケーションとは何か。それは以下のような構造を持つものだと考える。

  1. 各案のメリットが最大化され、デメリットが最小化される前提条件を明確にする。
  2. 現状の前提条件を分析し、どの案が最も合理的かを判断する。
  3. その判断に至った理由を明確に説明する。
  4. 相手の意見や新たな情報を求め、柔軟な姿勢を示す。

具体的には、こんな風に話を進めるのが良いだろう。

「A案のメリットが大きく、デメリットが小さくなる前提は~です。一方、B案のメリットが大きく、デメリットが小さくなる前提は~です。現状、~という前提だと考えているので、●案が合理的だと判断しました。ただし、~という前提について認識の相違や、現時点で把握できていない要素があれば、ぜひご意見をお聞かせください。」

このアプローチは、単なる選択肢の提示や情報を羅列しているだけではなく、判断基準を明確に示し選択肢を提示しているものだ。同時に、相手の知見や新たな情報を取り入れる余地を残すことで、より良い判断に繋がる可能性もある。

おわりに

自分自身のコミュニケーションスタイルを振り返ることは大切だ。日々の業務の中で、私たちは知らず知らずのうちに「ゆるふわ提案」に陥っていないだろうか。常に自己の行動を客観的に観察し、改善の余地がないか考えることが、成長につながるはずだ。

提案型コミュニケーションは、単に選択肢を示すことではない。相手の立場に立ち、思考と明確な判断を示すことで、より生産的な議論と良質な意思決定を導くものだと思う。この視点を持ち続けることで、「ゆるふわ提案」を撲滅し、より価値のあるコミュニケーションを実現できる第一歩になると考える。

関連する日報

    出社なしでも成り立つ?ベイジのフルリモート文化

    1,184 view

    安齋実咲のプロフィール画像
    安齋実咲 ディレクター
    上司のフィードバックがしっくりこない時に知っておきたいこと

    9,317 view

    菅野 黎樹のプロフィール画像
    菅野 黎樹 エンジニア
    チームの生産性を上げる「適切に頼る力」

    641 view

    吉池千尋のプロフィール画像
    吉池千尋 ライター
    どうやって不安と向き合う?社員が実践する4つの方法

    1,260 view

    古口 真凜のプロフィール画像
    古口 真凜 バックオフィス
    "でしゃばり"が組織にもたらす価値

    810 view

    若菜 真穂のプロフィール画像
    若菜 真穂 コンサルタント
上に戻る