「ゆるふわリード文」撲滅法

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ライター 五ノ井 一平

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そのリード文、本当に必要?

ウェブサイトのいたるところに「リード文」が存在する。

トップページの各見出しに紐づくリード文、カテゴリトップの各詳細ページのタイトルに紐づくリード文、詳細ページの中にある冒頭のリード文など、あっちにもこっちにも、そっちにもある。

場所によってはデザインの見た目とのバランスで文字数制限があったり、カテゴリトップなどで各ページのリード文が横並びになる場合は、ガタガタな見た目にならないように行数を揃える必要があったり、その執筆や調整に地味に時間がかかるのがリード文だ。

私自身、リード文を書くのは嫌いではないが、「リード文って地味に時間かかるんだよな…」と頭を悩ませながら書くことが多い。また、自分が書いたリードを見直したり、世の中のサイトにあるリードを読んだりすると、「ゆるふわなことしか書いてないじゃん。いっそ不要なのでは?」と思ってしまうことも少なくない。

決して書きたくないわけではない。ただ、その必要性を問い直したい。

リード文の本来の役割

リード文の必要性の前に、その役割を考えてみる。

例えばトップページやカテゴリートップページといったページそのものの役割は、何らかのニーズを持つ訪問者を、その訪問者が必要とする情報が存在するページにスムーズに誘導することだ。そしてリード文は、「ふむふむ、この先のページにはそんなことが書いてあるのね。知りたかったことだから見てみよう」と訪問者の行動を後押しする役割を持つ。

私のウェブサイト制作の経験上、リード文には大きく2タイプあると考える。

  1. 誘導型リード
  2. メッセージ型リード

誘導型リードは「〇〇〇や〇〇〇について紹介します」という、よくある形式のもの。

例えば【会社概要ページ】のリードとしては、「当社の本社所在地、アクセス、資本金、組織図、などの基本的な情報をご確認いただけます。」というがよくあるだろう。このリード文が、訪問者にとっての一つ目印となり必要とするページへのアクセスを可能とする。

採用サイトの【人を知るページ(社員紹介ページ)】のリードも考えてみよう。この場合、「当社で働く各職種のスタッフのインタビューを掲載しています。各スタッフの業務内容や価値観、当社で働く魅力を詳しく知ることができます。」といったところだろう。

一方でメッセージ型リードは、誘導型リードの機能も果たしつつ、そのページもしくはサイト全体で特に訴求したい要素を盛り込んだ文章を指す。企業サイトより採用サイトでよく見受けられるもので、リード文にMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に紐づくような言葉を取り入れ、その企業らしさを訴求したいという企業・制作側の想い感じさせる。

上で誘導型リードで例示した【人を知るページ(社員紹介ページ)】のリード文をメッセージ型リードに仕立て上げると、「立場も役割も違っても、目指す未来はひとつ。当社スタッフは◯◯◯◯◯◯というミッションを胸に、新たな挑戦に日々取り組んでいます。」のようなものになる。

誘導型リードに比べとメッセージ型は書くのにやや時間がかかるが、制作者や企業担当者に好まれる傾向があるように思う。しかし、「本当にこのメッセージ型リードが訪問者に効果的なのか?」を考慮しないと、ただの『言いたいことだけ言いましたリード』になってしまうので注意したい。

(再掲)そのリード文、本当に必要?

2パターンのリード文を説明したところで、日報の主題であるリード文の必要性を改めて考えたい。

リード文を書きながら
「そもそもなんで必要なんだっけ?」
「こんなリード書かなくても、タイトルだけでわかるのでは?」
「それっぽいゆるふわなこと書いてあるけど、情報としての価値ある?」
と頭を悩ませる人は、実は多いのではないか。

当たり前だが、【必要ある】【必要ない】と言い切れるものではなく、訪問者のリテラシー・属性、サービス名称、そのページの特性など、さまざまな要素に左右される。

①コンサル支援会社のサービストップページの場合

例えば、コンサル支援会社のウェブサイトのサービストップページ(カテゴリトップ)で考えてみよう。そこには10くらいのコンサルメニューが並んでいる且つタイトルをクリックすると詳細ページへ遷移すると仮定する。

この場合、サービス名だけがズラッと並べられるだけだと訪問者は「いろいろサービスあるのはわかったけど、どのサービスがどんなことやるのか全然分からない…」となるリスクがある。そのためサービスごとにリード文を用意したほうが、「うちが求めてるのはこれかも。クリックしてみよ。」と、リード文が無いことで発生する離脱リスクを多少は抑制できるのではないか。

②採用サイトの職種紹介トップページの場合

次に採用サイトの職種紹介トップページで考えてみる。営業、企画、デザイナー、マーケター、事務、人事など各詳細ページへのリンクがあったとしよう。

この場合、各職種ごとにリード文を用意しても、訪問者の行動にはあまり影響はないのではないか。なぜならこのページの訪問者の多くは希望する職種があり、職種名さえ見れば迷わず詳細ページへ遷移できるからだ。

ただ、職種名が一般的でない場合や新卒向け採用サイトの場合は、リード文があったほうが訪問者にとって有益だろう。

リード文が少ない採用サイト

私は関与していないが、当社で制作した株式会社アルバリンク様の採用サイトは、トップページ、各カテゴリトップともにリード文を最小限に抑えていて個人的には理にかなっているなと感じた(必要なページにはしっかりリード文がある)。「リード文がないと変なんじゃ…」と思われる人は、参考に見ていただきたい。

悲しいリードを減らしたい

これまで幾多のライターやリード文担当者の頭を悩ませてきたリード文について、その役割や必要性を考えてみた。

世の中(のウェブサイト)には、必要ないのに時間をかけて書かれたリードもあれば、ゆるふわすぎて何一つ伝わってないリード、本当は必要なはずなのに書いてもらえなかったリード、そういった悲しいリードがたくさんにある。

そんな悲しいリードを一つでも世の中から減らすために、この日報が今後のリード文執筆の足しになれば幸いである。

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