なぜ「結論から伝えるのが大事」と言われるのか?

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執行役員 / コンサルタント 今西 毅寿

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結論から言うと、ビジネスにおいては相手が求めていることを端的に伝える方が、メリットが大きいからだ。

みんな忙しい

仕事をしている人はみんな忙しい。優先すべき仕事もなく、無尽蔵に時間が使えるなんて人はいないはずだ。

多くの人は限られた時間を何とかやりくりしながら仕事をしているので、結論から伝えることは以下のようなメリットがある。

  • 多忙な人は多くの情報を短時間で処理するため、その後の詳細を効率的に理解できる
  • 相手の注意を引きつけ、自分の考えや提案に自信を示すことができ、信頼感を高める
  • メッセージの核心をはっきりさせることができる
  • 意思決定者が迅速に行動を起こすための情報を手に入れることができる

プライベートな時間であれば、結論から話さなくてもいいと思う。私自身もプライベートで友人と食事をしている際に、結論から話すようなことはしていない。結論がないような会話をひたすらしている。

最初からできている人は少ない

ビジネスの現場では結論から伝えることを求められるが、訓練せずに最初からできている人は少数なのではないか。

私自身も顧客とのミーティングや上司への報告をする際に、結論から伝えることができておらず、「つまりどういうこと?」「結論どうすべきなの?」と、よくフィードバックされていた。

ディレクターとして顧客と接することが多かった自分としては、なかなか改善できない自分に焦りもあった。そこで、以下のような「ディレクターの心得」を用意して、ミーティングの直前に読み返してから臨むようにした。

  • 口癖は「結論から言えば」「結論から言って」
  • 結論がすぐ出ないときは、相手の意図を探る
  • 理由はメリットとデメリットを必ずセットに
  • 顧客の要望を必須事項と受け取らず、より良いアイデアを出す
  • 手段を考えるのは私たちの仕事。顧客には意図を確認する

日頃から「意識する」だけではなかなか改善しないが、自分が意識するべきことを書き出し、ミーティングの直前に確認するようにしてから、少しづつ改善されてきた。

デメリットはないの?

では、ビジネスの現場で結論から伝えることのデメリットはないのだろうか?私は以下のような懸念もあると思っている。

  • 結論を先に伝えると、背景情報や文脈の欠如、ロジックや根拠の伝達の困難さから、誤解を招くリスクが増える
  • 情報やストーリーの流れに沿って理解することを求められる場合、結論先行型のコミュニケーションが関係性の構築を妨げる可能性がある
  • 結論から入ると、情熱や感情的な要素が伝わりにくい場合がある
  • 状況や相手によっては、詳細や背景から伝える方が適切な場合もある

経営者やプロデューサーのように全体を俯瞰・統括する立場の人は、日頃から忙しい状況で大量の報告を受けていることもあり、結論から伝えることが好まれる。

一方で、プロジェクト中に定められた細かなタスクを現場レベルでこなす担当者に対しては、端的な伝え方よりも事象の背景や対応して欲しい内容を、具体的に伝えた方が望ましいケースもある。

最後に

ビジネスのコミュニケーションにおいて「結論から伝える」のは非常に効果的であり、多くの場面での優れたコミュニケーション手法と言えるだろう。しかし、絶対的なルールとしてではなく、相手の立場や状況を考慮し、適切に選択・調整することが重要だ。

最終的に、効果的なコミュニケーションは「相手の立場を理解し、それに基づいて伝える」ことに尽きる。結論から伝える手法を武器として持ちつつ、柔軟にコミュニケーションを取れるのが理想的だろう。

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