仕事をしていると、常に新しい課題や複雑な問題に直面する。これらを解決するために「壁打ち」という方法を活用している。壁打ちとは、他人にアイデアや問題を投げかけ、フィードバックを得るプロセス。この自発的な思考は、目の前の課題解決のみでなく、自身の課題に取り組む能力を高めることにも効果がある。
私はメンバーが行き詰っている際に、よく壁打ちを活用する。問題の対象はなんでもOK。プロジェクトメンバーが自分の考えを壁(私)に向かって話すことで、自分の理解が深まり、新たな視点を発見できる。
これにより、問題に対してより前向きで創造的なアプローチが可能になる。壁役に大事なのは直接的な答えの提供ではなく、新たな視点を提示することだ。メンバーが自分自身で答えを見つける手助けをし、自力での問題解決をうながす。自力で解決できた体験は、メンバーの自信と自己効力感の向上につながっていく。
壁打ちの効果をより高めるためにはふたつのポイントがある。
①相談者は壁打ち前に考えを整理する
壁打ちを始める前に、相談者は問題について深く考えておいてほしい。悩みを言葉で説明できる程度に考えが整理されていると、壁打ちの中の気付きをスムーズにアイディアに発展させられるだろう。
②壁役は質問内容や態度に気を遣う
壁役はサポートの存在を自覚し、相談相手が一歩前進できるような質問を心がけ、否定的な反応を避けることが大切だ。壁打ちのセッションで、相談者のアイデアを否定するような反応や解決策を提供しすぎることは避けるべきだ。
ここまでポイントを紹介してきたが、壁打ちには特に入念な準備はいらない。行き詰った時にはぜひ気軽にメンバー同士試してみてほしい。
私は行き詰って悩んでいた相手が壁打ち後に自信を持って戻っていく姿を見ると、能力を引き出すお手伝いが少しできたような気がして嬉しい。