ライターとして7月に入社した川口です。
前職では2年ほど、コンテンツSEO(検索ニーズに合わせて記事をつくること)に携わっていました。
ベイジの事業の一つに、クライアントのウェブサイト制作がある。
ウェブサイトの目的は、顧客が求める情報を届けることだ。
企業のウェブサイトでは、美しいイメージ・デザインが重視されやすい。
しかし同じくらい気を配るべきなのが、文章の質だ。
先日、入社時のオンボーディングとして「BtoBライティングの基礎」というテーマの動画を視聴した。
そこで気づいたことが一つある。
わかりやすい文章を書くためのポイントは、SEO(検索結果での表示順位をあげる取り組み)に通じることがとても多い。
前職では意識していなかったが、今回の動画は改めてSEOの本質について考えるきっかけとなった。
わかりやすい文章を書くための6つのコツについて、視聴した動画をもとに、SEO的な観点を交えつつ紹介したい。
たいていの読み手は、忙しい中でできるだけ早く目的の情報を得たいと考えている。
よって、情報量が同じなら文字数は少ない方がよい。
SEOにおいても、同じことが言われている。
検索エンジンは、やみくもに文字数の多いページを良いコンテンツとして評価しない。
重視しているのは、「ユーザーの課題が解決されるか?」という点である。
文章を書くとき、無駄に文字量が増えてしまう裏には、
「手抜きに思われたくない」
「頭が良さそうに見られたい」
「詩人のようなカッコいい文章を書きたい」
などの感情が隠れていることが多い。
しかし、「長い文章=良い文章」ではない。
勇気をもって、文字を減らそう。
抽象的な言葉は、耳当たりが良い。
例えば、こんな言葉だ。
「ソリューション」
「アプローチ」
「リーディングカンパニー」
「価値創造」
「最大化」
「お手伝いします」
便利なのでつい使ってしまいがちだが、多用すると「中身の無いことをそれっぽく言っている」ように見えてしまうので要注意だ。
これもSEOに通じるところがある。
質の高いコンテンツとして評価されるポイントの一つとされているのが、独自性(オリジナリティ)である。
コンテンツにおいて、一次情報(=自分が体験した具体的なエピソード)がより重視されてきている。例えば専門家へのインタビューや、独自に調査したアンケート結果などだ。
二次情報(ネットなどで調べた情報)は抽象的で、あまり読者の役に立たない。
抽象的な言葉や情報は、読み手の具体的なイメージにつながりにくく、説得力に欠けるのだ。
書くことを生業にしている人であれば、日常的に意識しているポイントだろう。
1つの文章の中に2つも3つもメッセージがある状態は、読み手の負荷(内容の理解に時間がかかる)となる。
一文が短く簡潔だと、読者が求めている情報をキャッチするまでにかかるストレスが減る。
例によって、SEOに通じる点がある。
SEOでは「1コンテンツに1テーマ」の原則がある。
1つのページに2つも3つもテーマを詰めこみすぎると、結局何を主張したいのかわからず、全体的にボヤけた内容になってしまう。
「要点を1つだけに絞ることが大事」なのは、文章やページ、さらにいえばメディアレベルでも同じである。
読者が必要な情報にすぐに辿りつけるよう気を配ることは、情報発信の基本なのだ。
「伝わりやすさ」を重視するなら、難しい表現は避けるべきである。
過去、IT系のメディアで一部の読者に向けたコアな技術解説系の記事を書いたことがある。専門用語はなるべく使わないようにしたが、内容の難解さのためか、全体のビューは伸び悩んだ。
加えて、離脱率も他の記事と比べて明らかに高かった。
読者が
「自分には難しすぎる」
「このページでは知りたい情報を得られなさそうだ」
と判断しすぐにサイトから離れてしまうことは、間接的にSEOに影響すると言われている。
想定される読者のリテラシーに応じて使う言葉を調整する必要はあるが、
基本的には誰もが理解できるシンプルな表現を使う方がベターだ。
以下で具体的なテクニックを3つ紹介する。
漢字やカタカナが半分以上の文章は、難しそうな印象を与える。
「漢字」「かな文字」にはそれぞれの役割がある。
用途によって、使い分けよう。
・カタカナ
印象に残したい言葉・注目してほしいキーワードに使う
・漢字
意味を伝える言葉。強い意味として伝えたいところは漢字に、それ以外はひらがなにする
・ひらがな
カタカナや漢字のつながりを滑らかにする黒子(くろこ)
二重否定は文章を複雑にし、誤った解釈を招く可能性を高める。
ストレートな肯定表現の方が、読者はスピーディーに理解できる。
(例)
「リスクがないとは言えません」→「リスクがあります」
(例)
「連絡がないと参加できません」→「参加には連絡が必要です」
修飾語とは、他の言葉を詳しく説明する語のことだ。
「美しい花」の「美しい」や、「速く走る」の「速く」が修飾語にあたる。
被修飾語とは、修飾語による説明を受ける語のことである。
「美しい花」の「花」、「速く走る」の「走る」がそれにあたる。
修飾語と被修飾語は、近い位置にある方が理解しやすい。
(NG)
「1営業日以内に、A社の佐藤様から高橋部長宛に依頼があった業務について確認します。」
↓
(OK)
「A社の佐藤様から高橋部長宛に依頼があった業務について、1営業日以内に確認します。」
人は目立つものから読む。
記事なら見出し、メールやチャットなら太字が該当するだろう。
ビジネスコミュニケーションの基本は、「結論ファースト」。
一番伝えたいことは、一番目立たせるべきなのだ。
前職でオウンドメディアの編集をしていたとき、よく上司から「見出しだけを飛ばし読みしても、記事の主旨が把握できる見出しのつけ方をしろ」とアドバイスを受けていた。
SEOの世界でも、対策したいキーワードは見出しに含めることがセオリーとされている。その昔、検索エンジンの黎明期には、見出しにキーワードを盛り込むだけですぐに順位があがっていた時期すらあったそうだ。
見出しに含まれているキーワードや結論に興味を持てば、読者は「この記事は自分の役に立つかもしれない」と考える。
結果として、本文のより詳細な情報まで読み進める可能性が高くなる。
文章や資料において、表記や語調の統一は初歩的なポイントである。
しかし欠かすと読み手の信頼を損ねたり、誤解につながったりするため、無下にすることはできない。
SEO文脈においても、誤字脱字や表記ゆれなどの細かいミスは、クローラーの情報の読み取りなどに支障をきたすおそれがある。
正確さや一貫性を保つことはいわば文章における「守り」の領域だが、見落とされがちなので気をつけたい。
具体的には、以下のようなポイントが挙げられる。
・送り仮名やカタカナ言葉・略称を統一する
「申し込み or 申込み?」
「サーバー or サーバ?」
「インターネット or ネット」 など
・語調を統一する
「です・ます調 VS だ・である調」
「句読点をつける VS つけない」
「体言止め VS 文章調」 など
・意味のない言葉は極力ひらがなにする
「下さい→ください」
「致します→いたします」
「~の通り→~のとおり」 など
わかりやすい文章を書くために気をつけたいことを6つ挙げた。
文章のコツは、SEOの本質に通じている。
無駄な文字を減らし、一文一意を徹底することで、読者が迅速に情報取得できるようにする。
抽象的な言葉を避け、具体的な内容にすることで、読者にとって価値のある情報を伝える。
また平易な言葉や言い回しを使い、結論は見出しで伝えることで、読者の興味を引きつけやすくなる。
表記や語調の統一は、文章の信頼性を高めるために欠かせない。
これらのコツを実践することで、読み手にとってわかりやすく、かつSEO評価にもつながる文章を書くことができる。