新卒で求人広告ライターになってよかった

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ライター 林崎 優吾

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私は現在、ベイジで採用サイトのコンサルタント兼ライターをやっている。新卒で入社した前職では、求人広告の代理店でコピーライター・ディレクターをやっていた。

あまり就職活動が上手くいかず、たまたま内定をもらえたのがその会社で、正直なところ求人広告やコピーライターの仕事を強く志望していたわけではない。

しかし、いま振り返ると、そのときの経験は現在の仕事にも大いに活きていると思う。自分が「新卒で求人広告ライターになってよかったな」と感じている点を、ここでまとめてみたい。

ライターとして転職を考えている人などに、少しでも参考になれば幸いだ。

世の中の仕事を広く知れる

採用は、あらゆる規模・業界の企業にとって必要だ。なので、求人広告のコピーライターが顧客として接する企業の幅は、めちゃくちゃ広い。製造業の大手メーカーもあれば、ITスタートアップも、個人経営の飲食店もある。

そこで、いろいろな業界や職種について、自然と学ぶことができた。新卒社員の社会勉強としては、最高の環境だったと思う。

おかげで、顧客企業のビジネスモデルや、対象となる商材のエンドユーザーもしくは採用のターゲットとなる求職者が日々どんな仕事をしているか、ある程度はパッと想像できるようになった。

特にベイジのようなBtoBの事業を行っている会社において、この基礎能力は意外と大きなアドバンテージになっているように感じる。

マーケティングの基礎になる考え方が身につく

前職で働いていた当時は、「マーケティングを学んでいる」という意識を持っていなかったし、実際マーケティングの用語や専門知識は全然知らなかった。でも、いま振り返ってみると、求人広告づくりを通して、自然とマーケティングの基礎になる考え方を身につけていたように思う。

採用ターゲットはどんな人で、その会社が魅力として訴求できるのは何で、他社とはどう差別化すればよくて、どんな表現にするのが一番刺さるのか。

良い求人広告を作るために、いわゆる「WHO・WHAT・HOW」や「USP(競合優位性)」と言われるようなことを、無意識に考えていた。この思考の型自体は、作るものが求人広告でなくなっても、いろいろと応用が利く。

むしろ「肩書だけマーケターで、実際にはあまりターゲットや訴求を深く考える機会がない人」よりも、求人広告で試行錯誤してきた人のほうが、マーケティングの適性を備えていることもあるんじゃないか、とも思う。

たくさん打席に立って試行錯誤できる

求人広告は、マス広告などに比べると1つ1つの仕事が小さく、数時間で1本書くことも珍しくない。しかも、大体は1つの原稿を自分1人で作りあげることになる。

だから、PDCAのサイクルを回しやすい。数をこなす中で、「これを試してダメだったら次はこうしよう」と仮説検証を繰り返して学習していける。

その領域において初学者のうちは、大きなプロジェクトの一部として動くよりも、小さな仕事を裁量を持って回し、試行回数を積んだほうが成長しやすいのではないかと、個人的には考えている。

特に求人広告は、小さいものから大きいものまで幅広い原稿サイズがあったりするので、ステップアップしていきやすかったように思う。

取材・インタビュー力が身につく

求人広告を作るときは、人事担当や実際に働いている社員への取材が欠かせない。顧客が中小企業だと、社長に直接お話を聞くケースもあった。そうなるとインタビューの場数が増え、自然と度胸や臨機応変な対応スキルが身についていく。

特に、現場の社員さんの中にはインタビューに慣れていない方も多い。そうした人から「求職者に刺さる話」を引き出すのは、ライターの腕が試される。もしかすると、取材慣れした芸能人や社長へのインタビューよりも、質問力が鍛えられる可能性もあるかもしれない。

取材だけでなく、原稿の方向性を顧客に提案し、時には交渉・調整する機会もあった。こうした経験は、今の仕事においても顧客とコミュニケーションを取る上で役に立っている。

ディレクション力が身につく

求人広告は規模の小さい原稿が多いため、ディレクター不在で自分で進行管理することがよくある。あと締め切りが明確に決まっているので、それに合わせて、どのくらいの時間配分で進めるか、顧客からどういった情報を引き出すか、といった段取りを考えながら動かなければならない。

場合によっては、自分が取材・企画したあとに、他のライターさんに作業を依頼することもある。なので、タスク管理やスケジュール管理の能力が身につく。これはディレクターとして働くわけではなくとも、持っておいて損はない基礎的なスキルだ。

成果を意識する感覚が養われる

求人広告は、成果が見えやすいのも特徴だ。どのくらい応募があったか、数字でハッキリわかるし、顧客からの満足度を聞く機会もある。

なので、自己満足の表現のこだわりを追求するよりも、実際に応募があったのか、採用ターゲットに合った人が採用できているのか、といった成果に目を向けやすい。

「この原稿で応募が多かったのは、なんでだろう?」「前回は、この部分がダメだったのか?」など、成果をもとに仮説を立てて考える習慣がついたのは、今でも本当に良かったと思う。

求人広告はウェブ媒体であれば、掲載中に内容を修正することができたため、それも成果を見ながら試行錯誤しやすかった理由の一つかもしれない。

文章のリズムとデザインへの意識が磨かれる

求人広告は、「文字数」や「レイアウト」が厳密に決まっている場合が多い。与えられたスペースの中で、いかに読みやすく、魅力的に表現できるかを考えなければならない。

その経験から、一文をどのくらいの長さで区切るか、どこで改行を入れるか、ひらがな・カタカナ・漢字のバランスをどうするか、など細かな文章の見え方やリズムを整える意識が培われたように思う。

このスキルは、知識として学ぶというよりは、身体で覚えてセンスを磨く的なところがあり、わりとライターでも持っている人とそうでない人が分かれる印象がある。なので、身につけられたのは、結構ラッキーだったのかも。

文章を書くだけでなく、グラフィックやレイアウトを自分で考えることもあった。デザイナーになれるほど高度なスキルは身につかなかったが、デザインの基礎は学ぶことができて、それが資料作成など色々な場面で意外と役に立っている。

なんで求人広告の会社から転職したのか

ここまで書いておいてなんだが、私は3年ほどで求人広告のライターを辞めて転職した。(未経験から一社目の選択肢として求人広告ライターは本当に良いと思っているので、この記事の内容も嘘ではない)

もっとひとつの企業に深く入り込んで考えてみたい、という思いが強くなったからだ。ベイジは、まさにその要望を満たしてくれる環境で、採用サイトの制作を通じて一社につき半年くらいかけて、じっくり向き合うことができている。

もし私と同じように求人広告ライターの次のキャリアを考えている人がいたら、ベイジではライターを大募集中なので、ぜひ検討してみてほしい。ここまで書いてきたような経験を積んでスキルを身につけてきた人であれば、きっと活躍できるはず。

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