AIが出す文章がイマイチだと思ったら、まずはこれを読んで欲しい

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コンテンツマネージャー 小林聖子

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先日はライターが生成AIをどのように使うべきか、を具体的なプロンプトややり方を絡めて書いた。「AIでライティングしてみたいけど、どこから始めればいいか分からない」、そんな問いには答えられたはずだ。

しかし、「AIを使ってみたものの、思ったような文章が出てこない」という悩みも、同じくらいよく耳にする。ブログ記事やSNS投稿、プレスリリースからシナリオ作成まで。生成AIの用途は多岐にわたるが、AIの性能がどれだけ進化しても、「使い方」次第でアウトプットに雲泥の差が生まれる。それこそが、この分野の面白さであり、多くの人がつまずく難しさでもある。

私自身、ライターとして、組織の一員としてもAIと向き合ってきた中で感じているのは、AIは「手間を省く道具」である以上に、「自分の思考を映し出す鏡」であり「新しい問いを投げかけてくれる相棒」だということだ。ここに、この問いの答えを見つけるヒントがあると考えている。

いいプロンプトは、いい問いから生まれる

AIライティングを試した人なら誰しも、「思ったより的外れな文章が出てきた」「ふわっとしたことしか書いてない」「なんか同じことを繰り返しているだけに見える」といった経験があるだろう。これは、AIの性能の問題というより、多くの場合“問い(プロンプト)の質”の問題だ。

私たちは無意識のうちに、多くの前提を「言わなくても分かるはず」と思い込んでいる。例えば、誰かに「企画書を作って」と頼んだとして、どんなアウトプットを思い浮かべるだろうか。頼んだ人によって、その目的、構成、書式、さらには熱量まで、全く異なるものが想定されているはずだ。

このように「何を伝えたいのか」「誰に向けて書きたいのか」「どういうトーンで書きたいのか」を曖昧にしたままAIに指示を出すと、AIはそれを“平均的で無難な回答”にまとめようとする。なぜなら、AIの回答は基本的に「世の中にある一般的なものをまとめたもの=マス向け」でしかなく、さらにはその最大公約数でしかないからだ。結果として、どこかで見たような、どこにも響かない文章になってしまう。

これは例えるなら、「この料理、なんか美味しくない」と言っている人が、レシピも材料も全部丸投げしている状態に似ている。料理であれば「塩気を控えて」「和風味が食べたい」「ピーマンは入れないで」など、自分なりのこだわりや文脈があって初めて、食べたい味に整っていくだろう。可能なら、写真を見せて「トマトと卵を使って味付けは中華風の料理を食べたい」と伝えたほうが、より似たものになるかもしれない。ライティングも同じで、AIにちゃんと「欲しいアウトプットの形を具体的に伝える」ことを心がければ、格段に精度が変わることに驚くはずだ。

AIは「書く」より「考える」を助けてくれる

ライティングの本質は「書く」ことではなく「考える」ことにある。自分は何を言いたいのか。なぜそれが大事なのか。どうやったら伝わるのか。こうした問いに向き合う時間こそが、良い文章を生むために不可欠なプロセスであることはライターならわかるだろう。

そしてAIの真価が発揮されるのは、まさにこの“考える”工程においてだ。例えば、あるテーマについて自分が持っている視点を出し切ったあとに、「他にどんな切り口があるか?」と聞いてみる。あるいは、「この文章、他人からはどう読まれそうか?」と聞いてみる。「このテーマで望まれている答えは何か?」でもいい。

こうした問いかけに対して、AIは自分では気づかなかった視点を提示してくれる。ときには自分の前提を崩してくれるような、思わぬフィードバックが返ってくることもある。これを繰り返すうちに、あなたのライティングは「AIに正解を出させる作業」から、「AIとの対話を通じて思考を立体的に組み上げていくプロセス」へと変わっていくだろう。まるで思考のピラミッドを築き上げるように、より強固で多角的な主張が生まれるはずだ。

完成をゴールにしなければ納得が生まれる

簡単に文章が作成できるせいなのか、AIを使ったライティングでは、最初に出力された文章をそのまま公開してしまうケースもまだ少なくないようだ。しかしこれは、人間のライターでいえば「下書きをそのまま納品する」ようなものだ。

AIは優れた「第一案」を作るのは得意だが、それを「人に響く最終案」に仕上げるのは、やはりまだ人間の仕事だ。語尾の調整、表現のトーン、接続詞の繋がり、タイトルの説得力やキャッチーさ、細部を丁寧にチューニングしていくと、文章の体温がぐっと変わり納得性が生まれる。文章における「完成」とは、単に書き終えることではない。編集の積み重ねによって生まれる、書き手自身の「これで伝わるはずだ」という“納得感”のことなのだ。

面白いことに、なぜかAIそのままの文章はわかるものだ。個人の経験としても、AIの出力を人の手で「編集」する時間が、生成AIを使ったライティングにおいてもっとも価値があるパートであり、その効果もリアルに実感している。もしもAIのアウトプットに納得できていないなら、一度だけでもそこに従来の二倍の力を入れてみることをお勧めする。

AIライティングは「自分を知る旅」

少し抽象的な話になるが、AIと対話しながら文章を磨いていく過程は、どこか自己対話のような側面を持つ。「自分が本当に言いたかったことって、こういうことかもしれない」「なぜこれを伝えたかったんだろう」といった内省が、文章づくりの中で自然と生まれてくるのだ。これは、紙に向かって一人で黙々と書いていた時代には明確にしにくかった感覚でもある。

だからこそ、AIに多様な質問を投げかける行為そのものに意味が生まれる。それが、自分でも気づかなかった思考の断片をつなぎ合わせ、練り上げられた文章への確かな橋渡しとなるのだ。

AIは、知識を与えてくれるだけでなく、自分の曖昧な思考をくっきりと言語化してくれる存在でもある。それゆえ、AIとともに書くということは、自己理解を深めるプロセスにもなり得ると感じる。

まずは、正しく具体的に指示するところから

いろいろ書いてきたが、AIライティングには特別な資格も、専門的なスキルもいらない。必要なのは、書いてきたようにちょっとした“問いの練習”だけだ。「これってどう思う?」「こう書いたけど、他に良い言い方はないか?」最初はそんな会話だけでもいい。大切なのは、“完成された文章を出力させること”ではなく、“一緒に考えを育てること”だ。AIは決して、最初から完璧な答えを知っている賢者ではない。

誰でも等しく始められて、誰よりも深く自分と向き合える。そんな新しい書き方が、進化の激しいAIと共にあるライティングだと私は思う。

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