「あの人がいるから頑張れる」は組織の危険信号

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ライター 西岡 紀子

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職場で「この人と一緒に仕事をしたい」「一緒に働くのが楽しい」と感じられる人に出会うことがある。そんな人たちとの出会いは貴重であり、同じ組織にいられるのは幸せなことだ。

しかし知らず知らずのうちに「人」が仕事のモチベーションの中心になっているとしたら、それには危険な面もある。なぜなら多くの場合、いつか「人」はいなくなってしまうからだ。むしろ有能で魅力的な人ほど市場価値が高く、引く手あまたなので流動性が高い。

たしかに「ともに働きたいと思える人がいる」は組織の魅力のひとつである。しかし、特定の個人がいなくなることでそれが欠けてしまうなら、それは真の組織の魅力とは呼びにくい。

「あの人がいるから」を仕組みに変える

もし「人」の魅力を、「あの人がいるから」という偶然に頼らずに、たとえば「熱量が高い人が集まる組織」のように組織単位で確立できていれば、そこには組織の魅力とよべる持続性が生まれる。

身近な例として思い浮かぶのが、自チームの取り組みだ。そのひとつを挙げると、オンラインMTGでチャット欄への積極的なコメントの投稿を「チームのルール」として推奨している。取り組み開始から半年ほど経つが、会議の発言者以外にも、チャットで皆が意見を表明するという行動が根づいてきたように思う。これが継続できれば、「全員が積極的に意見を出し合う」というチームのカルチャーの土台になっていくだろう。

また会社全体でも思い当たることがある。ベイジは「全員のコミュニケーションが丁寧だ」と言われることが多い。このコミュニケーションスタイルは私が入社した3年前にはすでに確立されており、これらが日常的に行われていることで、良い意味で「朱に交われば赤くなる」状況が生まれているといえる。新しく入ったメンバーが自然と周囲に倣っていくため、「コミュニケーションを丁寧に行う」カルチャーが連綿と受け継がれているのだ。

組織の持続的な魅力は資産になる

魅力的な個人の存在を「偶然」で終わらせるのではなく、そうした人材が自然と集まり、育っていく「必然」の仕組みを作ること。こうした積み重ねが、結果として「魅力的な人が自然と集まる組織」を作り上げていく。

これは一朝一夕では築けず、時間をかけて育まれるものだからこそ価値がある。簡単に模倣できない組織の魅力、ひいては資産になる。組織として、チームとして目指すべきは、この状態なのだと思う。

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