ヒット作品に学ぶ、コンテンツ設計の法則:アニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)

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コンテンツマネージャー 小林聖子

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「ターゲットを正しく設定するとは」

コンテンツ作成の際にターゲット設定をする人は多いだろう。しかし、実際にやってみて、どのレベル感で設定すればいいか迷ったことがある人も多いのではないだろうか。

ターゲット設定には3つのレベルがある

ターゲット設定については、私は大きく3つの段階があると思っている。

ジェネラル型:その戦略に当てはまるターゲットは全部含む(求人サイトであれば求職者全般)
カテゴリ型:複数のターゲット層に合わせて内容やアプローチを変える(求人サイトであればエンジニア)
フィルタ型:特定のターゲットに集中する(求人サイトであれば、基幹システム経験のある中途エンジニア)

括弧内の例を見ればイメージしやすいと思うが、最初からフィルタ型だとターゲットをかなり限定してしまう。逆に最終的なCTAまでジェネラルベースだとノイズ流入も増える。つまり、そのコンテンツがどのような目的で作成されるのかによって変える必要があるのだ。もちろん、サイト構成とも密接につながっている。

これをエンタメに例えてみよう。たとえばアニメやドラマをおすすめに従って観始めたとき、作品特有の前提知識についていけず途中で挫折するケースがある。一方で、シリーズものでも初見の人がすんなり楽しめ、そこから過去作に興味を持つケースもある。ターゲット設定の粒度の違いが、まさにこの差を生む

ヒット作品に学ぶ、ターゲット設計の法則

この違いを生む具体的なポイントはなんだろうか。このヒントは、実際に話題になる作品に隠されている。

例:アニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」

「新規と既存の理解の差をコントロールする」

この作品のすごさは、40年以上続くガンダムシリーズでありながら、今までガンダムを一度も観たことがない層にまでリーチし社会現象になったことだろう。なぜそれが可能だったのか。

それは、物語の序盤(Beginningパート)に力を入れ、全くのガンダム初心者でも「共通言語」と「背景」がわかる構成になっていたからだと思う。従来のガンダムシリーズは、「モビルスーツ」「ジオン」「コロニー」といった専門用語だけでなく、登場人物の関係性や宇宙世紀という複雑な歴史背景まで理解していることを前提にしていた。つまり、いくら感動的なドラマを作ってもある程度の予備知識がなければ入り込みにくい世界だった。既存ファンには最高だが、新規には壁が高すぎたともいえる。言ってみれば最初からフィルタ型だったということだ。

ジークアクスは、従来のファンの「期待」だけでなく、知識のない人も同じレベルで理解できることをまず前提にしたように見えた。Beginningパートでは「If(もしも)」という既存ファンが狂喜乱舞する二次解釈を入れつつ、予備知識ゼロの視聴者でも過去の物語を古参ファンと同じようにトレースできるよう設計されていた。つまり入口がジェネラル型に設計されていたわけで、既存客と新規客の理解のスタートをそろえることで新規層の獲得にも成功したといえる。

これをライティングで例えるなら、業界の専門用語や前提知識はターゲットの粒度に合わせて使わないと、誰でも理解できる状態になってしまい具体性がなくなるか、逆に既存顧客には伝わるが新規顧客には”ピンとこない”ということになる。アニメやドラマは視聴率で判断されるが、サイトで言えば最初から流入を限定して本当に欲しいユーザーにリーチするのか、という話だ。

ターゲット設定による文章の違い例

では、toBのサービスページの文章でそれぞれのレベルを表してみよう。

よくある文

配送業務の効率化は現代の物流企業においては急務です。御社では素早く情報を収集する仕組みはあるでしょうか。当社のダッシュボード機能なら、データの可視化と分析が可能です。

この文章は、すでに「情報とは具体的に何を指すか」「ダッシュボードとはどういうものか」「何のデータを可視化するのか」という基本概念を理解し、かつイメージできる人でなければ理解しにくい。

つまり、せいぜい顕在化したニーズを持ち、配送システムの概念をすでに理解しているリプレイス需要にしか響かない可能性が高い。アニメで言えば既存ファンの中でも読解力のあるファンにしか理解してもらえない。いわゆる具体性がない文章といわれるもので、ターゲットの粒度が曖昧なため、どのレベルにも中途半端にしか響かない

変換例①:ジェネラル型向け

「お客さんから『荷物はどこ?』って電話がかかってくること、ありませんか?」
このような問い合わせ対応に1日に何時間とられているでしょうか。その時間を、本来の業務に使えたらどうでしょう。私たちは、その時間を取り戻すお手伝いをします。

配送業に関わる人なら誰でも経験する「あるある」から入ることで、業界全体に広く響く入口を作る。専門用語を使わず、日常業務の実感を表すことを意識する。

変換例②:カテゴリ型向け

通販の急増で、配送ドライバーの負担が増えています。「今どこにいるか分からない」「再配達の依頼が電話でくる」「配送ルートを毎回手作業で組んでいる」これらはすべて、情報が一元管理されていないことが原因です。当社の配送管理システムは、ドライバーの位置情報、配達状況、ルート最適化を1つの画面で管理できます。

通販配送という特定のカテゴリに絞り、そのカテゴリ特有の課題を具体的に示すことで、該当する企業に強く響く。専門用語も適度に使い始める。

変換例③:フィルタ型向け

冷凍食品の配送で、温度管理の記録を手書きで残していませんか。
配送中の温度異常に気づくのが遅れ、商品廃棄が発生した経験はありませんか。
当社の温度センサー連動型配送管理システムは、リアルタイムで庫内温度を監視し、異常があれば即座にドライバーと管理者に通知します。食品衛生法に準拠した記録も自動生成されます。

冷凍食品配送という非常に限定されたターゲットに絞り、その業種特有の課題と解決策を専門的に語ることで、まさに該当する企業には「これは自分のための製品だ」と感じさせる。

今日から役立つターゲット設定まとめ

①ジェネラル型:「共感」を重視し、専門用語を避けて日常言語で表現する
業界全体に共通する「あるある」や日常的な困りごとから入り、専門知識がなくても理解できる言葉で語る。トップページやサービス紹介の導入部など、幅広い層に最初に接触するページで有効。

②カテゴリ型:「該当性」を重視し、特定業種の課題を明示する
特定の業種や用途に絞り、そのカテゴリ特有の課題を具体的に示す。専門用語も適度に使いながら、該当する層に「これは自分たちの課題だ」と感じさせる。サービスの詳細ページや業種別ソリューションページで有効。

③フィルタ型:「専門性」を重視し、非常に具体的な解決策を提示する
非常に限定されたターゲット(業種×課題×規模など)に向けて、専門性の高い言葉で具体的な解決策を語る。事例ページやホワイトペーパー、特定ニーズに応える専門ページで有効。

なお、ジェネラル型といっても「専門性を捨てる」ことではないことには注意したい。専門性を一切語らなければ、それは素人の説明と同様であり、プロフェッショナルを期待する読者の信頼を失う。必要な情報は残しつつ、誰でも入り口に立てる設計をすることが、ターゲットの粒度をコントロールし、ひいては顧客の信頼と納得を得る事にもつながる。

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