マーケティング、デザイン、キャリア

みんなで会社の行動指針を作りました。

なぜ行動指針が必要なのか?

ビジネスというのは基本的に正解がない世界です。様々な考え方、やり方、捉え方が混在し、許容される世界です。しかしだからこそ、一つの会社がブランドとして際立った存在になるためには、その会社なりの価値観やポリシーや筋の通った考え方が必要になります。

会社のブランドを作るということを今年の目標に活動している私たちですが、より力強いブランドに仕上げるためには、会社の価値観や考え方を明確にし、それに従って自分たちの行動を方向付けることができる「行動指針」が必要であると強く感じました。

どういう行動指針が自分たちにふさわしいか?

行動指針を作るにあたり、まず手始めに著名企業の行動指針を一つずつ見ていくことにしました。100社近くの行動指針を見比べた結果、私たちに必要な行動指針は以下の3つの条件を満たすものでなければならないと思いました。

  1. 抽象的な精神論ではなく、行動や判断に直結する具体的な内容である
  2. 当たり前すぎる内容ではなく、私たちの会社や仕事に直結する視点である
  3. 優しい言葉ではなく、読んだときにショックを受けるような厳しい言葉である

1についてですが、色々な会社の行動指針を見ていると、多角経営している企業ほど抽象的になる傾向があります。サービスが多岐にわたり、様々な国の文化や宗教への配慮が必要になると、具体的すぎる行動指針はむしろ適さなくなるのでしょう。

しかし、10名程度の少数精鋭組織を目指す私たちにとっては、抽象的で、業務に対してどう反映させていいかすぐにイメージできない指針は、自分たちの行動を変えていく強いキッカケにならずに役に立ちません。また、行動指針を少なくまとめようとすると、どうしても焦点が広がり言葉が抽象的になるため、ある程度のボリュームを持ったものでもよいだろう、とも判断しました。

2については、例えば「顧客志向であろう」とか「思いやりを持とう」といったような指針ですね。クライアントありきのビジネスをしている以上、顧客志向なのは当たり前だし、思いやりを持って行動するのは、人としての基本のようなものです。こういう当たり前すぎる行動指針では会社の個性になりえないため、これも外すことにしました。

もし、当たり前な項目がどうしても必要であるならば、例えば「顧客志向」とはもっと具体的にいうとどういうことなのか、ということまで突き止めたような指針でなければならないと考えました。

3は、行動指針を有効に機能させるための見せ方のポイントです。人間には、感情を揺さぶられた状態で触れた情報ほど、意識や記憶に強く残す性質があります。そういう意味では、感情に波風を立てない耳あたりのいい優しい言葉ではなく、むしろその指針を見たときに少し傷ついてへこむくらいの、厳しい言葉でありたいと思いました。

具体例でいうと電通の鬼十則などがこれにあたりますね。まるで上司から強く叱られているような鬼十則だからこそ、伝説的な行動指針として今も多くの人の記憶に残っているのではないかと思います。私たちの行動指針の表現も、これを目指してみることにしました。

行動指針とはブランディングのツール。だからこそ会社のコンセプトと一致すべき。

行動指針を決定する上でもう一つ大切なのが、私たちがなんなのか、という視点です。私たちのブランドが何を強みとし、何を個性とする集団なのか。その答えに結び付く行動指針でなければ、ブランドを築き上げるための行動指針になりません。

会社のブランドタグラインは「ビジネスを実装する少数精鋭Webプロダクション」です。「ビジネスを理解している」×「少数精鋭」×「Web制作のプロ」という3つが掛け合わさっている状態が会社の個性と考えています。

であるならば、私たちそれぞれが「ビジネスを理解したWeb制作のプロフェッショナル」とならなければならず、そのために私たちはどういう価値観で、どういうポリシーを持って仕事に取り組むべきか、ということが指し示された行動指針でなければなりません。

その考えに基づいて作られたのが、以下の「行動指針~ベイジのプロフェッショナリズム」です。

【プロフェッショナルは、行動主義である】

  • 行動しないことを正当化するな。行動しないことはリスクであり、悪である。
  • 目標をもって行動しろ。目標がない行動は無駄な行動だ。
  • この世には、忙しいけど行動する人と、忙しくても忙しくなくても行動しない人の2種類しかいない。忙しいのは当然。忙しさをマネジメントできない時点で怠けているのだ。
  • 謙虚さ、慎重さを装って行動しないのは、怠惰な自分を甘やかすだけである。
  • 行動するからには他人を動かせ。他人に影響を与えない行動は意味がない。
  • 行動の結果をすぐに求めるな。大きな成果ほど行動し続けて手に入るものだ。
  • 行動したら目標達成まで簡単に諦めるな。諦めた時点で失敗が決まる。
  • 行動の結果を必ず評価しろ。評価基準は目標達成度と他人への影響度である。

【プロフェッショナルは、論理的である】

  • 論理的とは、課題→根拠→結論が、無理なく繋がった状態である。
  • 「どうして?」「具体的には?」と言われることをいつも想定しろ。それに答えられない結論は論理的ではない。
  • 結論はいつも自分から出せ。他人任せにしているから論理的思考が鍛えられない。
  • 個人的な好みや経験だけで結論に至るな。それは傲慢で無知な人間のすることだ。
  • 根拠は3つ以内にまとめろ。3つにまとめるから話が整理されて伝わる。
  • 結論を曖昧にするな。抽象的な言葉で埋め尽くされた結論には大抵実効性がない。
  • 論理的であっても自分の感情は捨てるな。感情も根拠の一つ。客観的に評価すべき。
  • 相手が理解できる論理を立てろ。相手が理解できない論理は意味がない。

【プロフェッショナルは、自責型である】

  • 問題は自分のせいと考えろ。環境や他人のせいと考える人間は成長しない。
  • 天気が悪いのはあなたのせいではないが、天気が悪くて気持ちが乗らないのはあなたのせいだ。天気が悪くても成果を上げる方法を考えるのが自責型発想だ。
  • ほしい能力が今身に付いていないのはなぜか。「今までそういう機会がなかったから」「そういう仕事をさせてくれなかったから」「忙しかったから」「運が悪かったから」と考えるのは他責型だ。自分の努力不足と考えできることをすぐに実行するのが自責型だ。
  • 結果なく努力したと満足するな。望む結果に到達するまでは常に努力不足の状態だ。
  • 働きがいや働きやすさは自分で作るものだ。会社や先輩が与えるものではない。
  • コミュニケーション・ミスは相手のせいではない。自分の伝え方が悪いのだ。
  • 能力が低い人間ほど環境の影響を受ける。愚痴とは自分の無能さを曝け出す行為だ。
  • 現在は自分の選択の結果。未来はこれからの自分の選択次第。全て自己責任。

【プロフェッショナルは、リーダーシップがある】

  • 誰かが解決してくれると思うな。いつも自分が解決すると思って取り組め。
  • その場で解決できることはその場で解決しろ。理由なき後回しはただの怠慢だ。
  • 誰かの顔色や行動を見てから動くな。そういう人間は大抵出遅れている。
  • いつやっても同じなら最初に動け。人の後を好む人間にリーダーシップは芽生えない。
  • リーダーシップのない人間には「待ち」が多い。自ら行動して「待ち」を極力減らせ。
  • 打ち合わせでは積極的に発言しろ。黙っている人間には観葉植物ほどの価値もない。
  • 主導権を握ることから逃げるな。だからいつまでたっても頼りないのだ。
  • いつも自信を持って行動し、主張しろ。自信がない人間には誰も付いてこない。

【プロフェッショナルは、スキルアップし続ける】

  • 今まで身に付けた能力だけにしがみつくな。それこそが成長が止まる要因だ。
  • 平均的な人間と比較するな。優秀な人間と比較して近づこうと努力しろ。
  • 目標は高く持て。低い目標で満足するのは成長しない人間の典型だ。
  • 物事の良い面を見ろ。悪い面しか見ず批判ばかりしている人間は、失敗の回避ばかり考えて臆病で非行動的になる。良い面を見るから行動的になり、成長できる。
  • アウトプットなき学習は学習にあらず。スキルとは知識量とアウトプット量で決まる。
  • プライベートからも学べ。公私を完全に切り分けるキャリアプランは非効率だ。
  • 今必要なスキルと将来必要なスキルの区別をつけろ。これを意識できない人間には成長が止まる日がやってくる。
  • 将来必要なスキルは大抵緊急性が低く、すぐに行動しなくても問題は発生しない。これが罠である。今の忙しさに負けない人間だけが、将来のスキルアップを手にする。

【プロフェッショナルは、気が利く】

  • 自分が話したいことを中心に話すな。相手がより心地よく話せるように話せ。
  • 話し相手には関心をもち積極的に質問しろ。相手への無関心は最大の侮辱である。
  • 気が利くとは、他人の責任範囲にも関心を示しサポートすることである。頑なに自分の責任範囲しか実行しないのは気が利かない人間のすることだ。
  • 相手から質問が来る時点で、その資料やメールは気が利いていない。相手の立場になり、分かりやすく理解できることに徹底してこだわれ。
  • 難しいことに長大な説明を加えることは気が利く行為ではない。難しいことをシンプルに分かりやすくすることが、気が利く行為である。
  • 常に他人を楽にさせることを考えて行動しろ。自分の仕事の完遂だけを考えるな。
  • 他人の気持ちを思いやり、他人の行動に理解を示せ。理解から円滑なコミュニケーションと改善案が生まれる。
  • コミュニケーションを定型化するな。定型化は思考を停止し、問題意識を希薄化にする。

【プロフェッショナルは、ユーザ志向である】

  • あらゆるコンテンツや機能やデザインがユーザに与えるメリットを考えろ。メリットのないWebサイトは結局ユーザに使われない。
  • 考えたメリットを本当にユーザが求めているのか検証しろ。企業や制作者が勝手に思い込んでいるメリットでは成果に繋がらない。
  • クライアントの要望が真にユーザ視点か再考しろ。企業視点のWebサイトは失敗する。
  • 1pxのズレも0.1秒の違和感も見逃さない洞察力を持て。ディテールの積み重ねがユーザ体験のクオリティに影響する。
  • 「ライブラリが」「ブラウザの仕様が」「ソースコードの整合性が」「デザインが崩れる」というのは作り手の都合。制約ありきではなくユーザのメリット/デメリットを基準にベストな解を考えろ。
  • 自身もユーザとなって世のWebサイトを積極的に利用しろ。ユーザ経験が浅い人間に優れたユーザ体験を生み出すことはできない。
  • 個人的な経験や感想をそのままユーザ体験とするな。大抵は思い込みだ。ユーザ体験とはもっとフェアな視点から見えてくるものだ。

今後は、この行動指針をどう根付かせるか?

というわけで、当初の想定よりもボリュームの多い行動指針になってしまいました。ただしこれを聖書の様に暗記する必要はなく、核となる7つの基本指針を、まずは覚えておければいいと考えています。

  • プロフェッショナルは、行動主義である
  • プロフェッショナルは、論理的である
  • プロフェッショナルは、自責型である
  • プロフェッショナルは、リーダーシップがある
  • プロフェッショナルは、スキルアップし続ける
  • プロフェッショナルは、気が利く
  • プロフェッショナルは、ユーザ志向である

その上で、基本指針の具体例を読み解き、その言わんとすることを強く理解し、意識できればいいと考えています。

私も含め、現状はこれらの行動指針に基づいて完璧に実行できているわけではありません。しかしこれを私たちの理想と掲げて日々意識することを習慣化していければ、きっと私たちはWeb業界の平均的な制作会社ではなく、コモディティから抜け出したWebプロダクションになれるものと考えています。

この行動指針を数年間運用してみて、私たちのブランドがより力強いものになるか、試してみようと思います。

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