私は、実はかなり人見知りです。今の私を知っている人からは意外に思われるかもしれませんが、元々知らない人と話すのが得意ではなく、そういう人が多くいる場に行くと、結構プレッシャーを感じるタイプです。
家族や友人の間であれば、人見知りも魅力的な個性になりますが、ビジネスの世界では人見知りで得することはほとんどありません。特に会社を経営し、自分で営業をしなければならない私のような人間は、人見知りだからといって消極的になっていい理由は全くありません。
起業を決意するにあたって重視したことの一つに、交流会への参加があります。知らない人同士が、時に立食形式で交流する場です。人脈が広がるきっかけになる大事なイベントですが、知らない人が苦手な人見知りにとっては、まさに試練の場とも言えます。
しかし人間、数をこなしてみるものですね。最初は気が重かったこの手の交流会も、今ではすっかり慣れてしまいました。実際に人見知りが治っているわけではないのですが、そういう場での振る舞い方が分かるようになり、有意義に過ごせるようになりました。
というわけで、本当は人見知りである私がひそかに実践している、人見知りでも交流会を有意義に過ごせる方法をまとめてみました。
人見知りが最も恐れているのが、このシチュエーションではないでしょうか。周りは和気あいあいと盛り上がっている中、一人だけ誰ともしゃべれず隅っこでポツン。
自分のコミュニケーション能力が著しく低い気がして、社会生活不適合者になったような気分になりますね。目があった知らない人には「あの人、こういう場所で会話できないんだ」「一人で何しに来たんだろう、寂しい人」「まるでお地蔵さんみたい」などと思われてそうで、今すぐ逃げ出したくなりますよね。
でも、何も恥じる必要はありません。あなたは人見知りなのですから、隅っこでポツンとしてしまって当たり前なのです。そのことで自分が平均以下のダメな人間と思う必要もありません。何しろ、以下の調査データにもあるように、日本の社会人の約75%は人見知りらしいのですから。
以下のデータを見ると、「初対面の人に自分から話しかけられない」という人は、男性で5割近く、女性でも4割近くいますから、ごく普通のことのようです。
というわけで、隅っこでポツンとしている人がいる光景は、日本の平均的な社会によく見られるものです。周りもあなたのことをいちいち変な人だと思ったりしません。ひとりの時間が続いても、堂々としていていいのです。そう思うだけでプレッシャーがなくなり、居心地の悪さを感じなくなり、気分が楽になります。
『アメトーーク』の過去の企画の中で、私が一番共感したのが「人見知り芸人」です。この企画のプレゼンターであるオードリーの若林さんが人見知りであることの対処法として紹介していたのが、「ペットボトルとか缶ジュースのラベルを読み込む」、「ささくれを取っているフリをする」というものでした。この気持ち、非常によく分かります。
しかし、ペットボトルやささくれがなくても、もっと強い味方がいます。それがスマホやケータイです。一人でポツンとしていても、スマホを見ていれば「ひとりで寂しい人」から「スマホを見て楽しんでいる人」に昇格しますので、前述の一人ポツン状態のプレッシャーから一気に解放されます。
しかし、実はこれがよくありません。スマホを見ていると周囲の人はあなたに話しかけづらくなります。また、スマホに集中してしまうと周囲の会話が聞こえなくなるので、あなたがスマホから現実に戻った時に、より一層取り残される可能性もあります。そうすると、あなたの孤立感はさらに深まることでしょう。
交流会の場で優先すべきは、いつでも見る機会があるスマホの中の人や情報ではなく、この場・この瞬間しか出会えない人との交流です。一人ポツン状態のプレッシャーに耐えきれずにスマホに逃げ込むのは、ここはぐっとこらえておきましょう。
人見知りでスマホも禁止となると、今度はつい飲み食いに走りたくなりますが、私は知らない人が大勢いる交流会ではあまりご飯は食べません。ただし、お酒は飲みます。それは以下のような理由からです。
というように、交流会の席で食事をするメリットは実はあまりありません。会費が高めな交流会だと、つい食べて元を取ろうなどと考えがちですが、交流会の費用は、機会への投資と考え、食べに走るのは極力やめたほうがいい、というのが私の持論です。
ちなみに以下のサイトにあるように、空腹でお酒を飲むと胃の吸収が良くなり、アルコールが一気に体に回ります。これは健康によくない面もあるので、食べる量、飲む量は自己責任でコントロールしましょう。
交流会には同僚や友人と行くことも多いでしょう。また会場で知り合いに出会うこともあるかもしれません。人見知りにとしては、顔馴染みの人がいると安心してついつい話をしたくなります。しかし知り合いの人同士で固まっていると、まず間違いなく知らない人があなたに話しかけてくることはなくなります。またあなた自身も、顔馴染みとの会話に花を咲かせてしまい、知らない人との会話に乗り出しにくくなります。
顔馴染みとはメールやSNSなどで話す機会がある人です。別の飲み会に誘うことだってできます。一方で機会の有効活用という面で考えると、そこでなければ知り合えないような人との出会いを優先させるべきです。そう考えれば、顔馴染みとはそこそこの挨拶で済まし、できるだけ知らない人と話すようにしましょう。
交流会とはいえ、都合よく周囲から話しかけてくれることは稀です。そこで、場の雰囲気に慣れたら、自分から積極的に話しかけなければなりません。人見知りにとっては第二の試練ですが、恐れることはありません。自信がない時は、元気いっぱいで社交的っぽそうな人ではなく、あえてあなたと同じく、隅っこでポツンとしている人に狙いを付けて話しかけるようにしましょう。
一見おとなしく内向的に見える人も、話すと大抵そうではありません。交流会に来ている時点でみなさん基本的にはオープンです。そういった方が一人ポツン状態であなたと同じ孤独感を味わっているのです。あなたから話しかけられて迷惑どころか、むしろ感謝されることの方が多いでしょう。実際私も「気を使って話しかけてくれてありがとうございます」といわれたことが何度かあります。
話しかける言葉も、インパクトのある切り出し方をする必要ありません。「もしよかったら名刺交換しませんか」で十分です。あるいは「もしよかったら・・・」だけでいいかもしれません。これはナンパではなく交流会なのですから、拒絶されることはありません。話しかけるタイミングが変でも全然構いません。話しかけるタイミングが変という印象は、その後の会話であっという間にかき消されてしまいます。安心して声をかけてみましょう。
人見知りの方が、知らない人に話しかけることを躊躇する理由の一つに、自分自身が話下手だと思っているからではないでしょうか。折角話しかけても、面白い話ができない、話を盛り上げることができない、相手を楽しませることができない。
しかしこれも実はそれほど心配ありません。交流会にはアナウンサーやお笑い芸人のような話のプロが集まっているわけではないので、話下手であっても気にする必要はありません。初対面でいきなり話を盛り上げられる人は上級者でそもそも少数派です。人見知りのあなたはいきなりそこを目指さなくても大丈夫です。
また、会話というと積極的に話をしかないとと思いがちですが、これも誤解です。話下手なら、こちらが話をするよりも、相手に話をさせる気持ちでいればいいのです。会話の基本は相手への質問です。多く人は自分の話をすることが嫌いではないので、大抵の質問には快く答えてくれます。もちろん全ての人がいつも自分の話をするのが好きとは限りませんが、交流会という場所はそもそもそういう人が多く集まる場所なので、心配しなくても大丈夫です。
質問責めにしても嫌われるのでは、こちらも有益な情報を提供しなくては、などとプレッシャーに思うかもしれませんが、これも心配無用です。普通の社会人は、質問されたら質問を返してきますので、これにあなたが素直に答えればいいわけです。自分が聞きたいこと、相手が聞きたいことを繰り返せば、自然に会話が成立します。
会話が少し馴染んで自信が出てきたら、もう少し突っ込んで相手の役に立つ情報を提供するなり、楽しませるなりしてもいいですが、交流会はあくまでキッカケなので、まずは普通の会話を成立させることがゴールでいいんじゃないかな、と思います。
さて、いいタイミングでこんな良記事も見つけました。ただ、タモリさんは相当な会話上級者なので、参考にできるところだけ参考にするほうがいいでしょう。
名刺は情報の宝庫です。名刺に載っている情報を一つずつ質問していき、そこから発展させていくだけで、会話が成立します。例えば、以下のような質問です。
これに少しプライベートな質問と、相手から自分に対する質問に答えるだけで、それなりのボリュームの会話が成立します。そのため、何よりも最初はまず名刺交換から始めましょう。
しかしたまに運悪く名刺を切らしてしまっている人に出会うこともあります。人数が多い交流会ではよく起こることです。でもその場合も心配ありません。名刺に書いているであろうことを質問すればいいのです。「会社はどちらなんですか?」「どういった部署で働いてるのですか?」などですね。そこから派生する上記の質問を組み合わせれば、名刺が無くても会話を作っていくことができます。
人見知りで会話に自信がない人は、思わず変なことを言ってしまわないか、失礼なことを言って不愉快にさせてしまわないか、こんなことをいったら無知と思われないか、という不安にさいなまれます。私も話の流れでついどうでもいい話をしてしまい、あぁ、あんなこと言う必要なかったな、などと帰り道に後悔することがよくあります。しかし実際のところ、もっと後になって考えると、それは大して心配することではありません。
人は案外、会話の細かい内容は覚えていないものです。特に初対面の場合、名刺に記載している情報、見た目や話し方などの五感から得る情報など、様々な情報が一気に入ってくるため、会話の詳細よりも、重要事項や全体イメージの方が優先されるものです。ちょっとした話の齟齬も、こちらが思うほどには、相手の記憶に残ってないことが多いです。
また、これは私の個人的な考え方ですが、会話においてもっとも失礼なのは、相手に無関心なことではないかと思います。逆にいうと、相手にきちんと敬意を払い、関心を持っていれば、多少の脱線や無駄な会話も、大きな問題にはなりません。そのことに目くじらを立てて怒るような人はいないでしょう。
あなたが日常生活でも気づかずに人を怒らせてしまうことがよくある、というのであればまたちょっと話は変わりますが、日常生活で支障なく人間関係が築けているのであれば、きっと大丈夫です。つまらない話をしてしまおうが、的を外した質問をしてしまおうが、無知と思われてしまうような会話をしてしまおうが、普通に丁寧に接していれば、有意義な交流会を過ごすことができるでしょう。
さて、交流会でせっかく知り合った繋がりを活かすため、Facebookを活用することをおすすめします。このFacebook、人見知りにはかなり偉大なツールです。なにしろ、交流会の場でパッとしない印象しか与えられなかったとしても、その後のフィード投稿などでそのイメージを挽回することができるからです。本番に弱い人見知りをこれほど強力にサポートしてくれるツールは他にありません。
また、フィード投稿を行っていれば、タイムラインに表示されるため、あなたの存在が記憶の彼方に消え失せてしまうことを極力防ぐことができます。もちろん、それなりの内容をともなった投稿をする、ネット上でのマナーはわきまえるなど、最低限の気配りはここでも必要ですが、せっかく構築された人間関係をメンテナンスし、より濃密にするチャンスがFacebookにはありますので、これを最大限活用しない手はないでしょう。
交流会と一概にいっても様々な種類がありますし、来ている人も様々です。私もいつもお酒を飲まない、顔馴染みの人とは話さない、会話は質問ばかり、というわけでもなく、その場の雰囲気や相手で行動は変えていきます。こういった臨機応援な対応も含めて、多くのことは慣れでなんとかなるものです。
Web業界には人見知りの方が多いと思いますが、本当は色々な人と知り合って幅を広げたいと思っている方も多いのではないでしょうか。人見知り故にどうしても気遅れしてしまってたけど、これを読んで勇気が出て、積極的に外の世界に踏み出す機会が増えた、ということになってくれたらうれしい限りです。