起業する前に読んでおくといい12冊

 

会社を立ち上げて、3年半。Webクリエイターだった私に経営の知識なんてものは当然なく、手探りでなんとか3年やってきました。起業した頃は今以上に色々なことが分かっておらず、よく会社を作れたな・・・、などと今さらながら思ったりもします。

そんな私が起業するにあたっては、信頼できる経営の先輩の話やネットに転がっている情報と同じくらい、本の情報を参考にしました。

というわけで、ここでは、私が起業にあたって実際に参考にした本、あるいはこれは会社作る前に読んでおきたかったなぁ、と後から思った本をいくつかピックアップしてみました。

小さな会社のブランド戦略

小さな会社のブランド戦略

会社を作るということは、ブランドを一つ作るということですが、じゃぁブランドってどうやって作ればいいの?という疑問に分かりやすく答えてくれる本です。大企業の成功事例などは、立ち上げたばかりの会社にはなにをどう参考にすればいいかわからないものが多いですが、本書は「小さい企業」が前提なので、現実的に受け取ることができます。さくさく読める本ですが、書いてあることはブランド戦略の基本ばかりで、自分の会社が、誰に対し、何でどう勝負すべきか、ということについて、多くのヒントを与えてくれる本です。

ブランディング22の法則

ブランディング22の法則

企業を相手に本気でブランド戦略を語るのであれば、様々な専門書を読んで研究する必要はあるでしょうが、ひとまず起業のため、自社のブランディングのために、ブランド理論の入り口だけざっくり掴んでおくというレベルでは、先ほどの本と本書を読んでおけば、ひとまずはいいのではないでしょうか。これも大変分かりやすく書かれた読みやすい本ですが、著者のアル・ライズは著名なマーケティング戦略家で、基本はしっかりと押さえられています。

ケースで学ぶMBAマーケティング

ケースで学ぶMBAマーケティング

実際に会社経営をしてみると、マーケティング理論そのままで通用することは少なく、結局自分で考えなきゃいけない局面の方が多かったりもします。なので、起業目的でマーケティングを学ぶのであれば、まずは教科書的な本で基本を押さえておけばいいんじゃないかな、と私は思います。そういった用途では、本書が最適です。マーケティングの考え方を体系立てて、網羅的に、簡潔に整理されています。この本のおかげで、マーケティングというものを、ある程度体系立てて考えられることができるようになりました。

シュガーマンのマーケティング30の法則

シュガーマンのマーケティング30の法則

マーケティング系の書籍で合わせて読んでおきたいもう一冊がこちら。マーケティング理論というより、顧客の購買意識を喚起する「心理的トリガー」の例を分かりやすく分類してまとめた本です。卑近な例をサンプルに非常に分かりやすく書かれた本ですが、やはり基本的なところはきっちり押さえられています。本書に書いてある視点を頼りに、自社のマーケティング戦略の妥当性を評価できる本ではないでしょうか。

リーン・スタートアップ

リーン・スタートアップ

ベストセラーになったので皆さんご存知だと思いますが、改めて。これ、起業前に読んでおきたかったなぁ、と痛感しました。なんとなくシリコンバレー系のスタートアップ向けの書籍のように扱われていますが、事業に必ず存在する不確実性をどうマネジメントすべきか、ということの優れた指南書であるとも思います。起業というと、人によっては夢と希望だけで猪突猛進に行動しちゃいがちですが、本書を読むと、一度冷静になって現実的なプランを考えられるようにもなります。

ブルー・オーシャン戦略

ブルー・オーシャン戦略

やはり有名な本ですが、改めて。主張としては競争の激しい市場(レッド・オーシャン)を避けて、競争のない市場(ブルー・オーシャン)で勝負すべき、という内容です。差別化戦略やポジショニング戦略をより洗練化させた考え方ともいえます。実際、完全なブルー・オーシャンを見つけるのはかなり難しいですが、ただやみくもに戦うだけのではなく、できるだけ競争を避けるのが基本、という発想が、自分の中でしっかり根付くようになった本でした。紹介されているフレームワークも、結構重宝します。

起業のファイナンス

起業のファイナンス

デザイナーやエンジニアが経営者になるときにまず躓くのが、ファイナンス関連です。会計や税務、法律など関連分野が幅広く、どうしても苦手意識を持ちがちですが、会社経営をする上で避けては通れない道でもあります。実際にはもう少しいろいろな本を読んだのですが、概要を知る意味では、本書が一番参考になりました。VCの存在意義や資本政策、キャッシュフロー、ストックオプションなどといった、起業に関わるファイナンス面での基本知識を網羅的に学ぶことができます。

人を動かす

人を動かす

組織作りの基本となるのが、リーダーとしてのコミュニケーション能力だと思います。人を説得したり、人を変えたりするのに必要な話し方、接し方について、リンカーンなどの偉大なリーダーの行動を例に、分かりやすく、納得感のある内容で書かれています。正直、これを読むと自分のリーダーとしてのダメさ加減を突き付けられて心が痛くなるのですが、逆にいえば、それくらい大事なことが書かれているとも言えます。小さな会社の中でお山の大将になってしまわぬよう、是非一度読んでおくべきでしょう。

影響力の武器

影響力の武器

こちらも人を動かす方法が書かれた名著です。話し方・接し方にフォーカスした『人を動かす』と異なり、こっちは人間の心理特性に焦点を当てた内容で、マーケティングからチームビルディング、交渉術やビジネスマナーに至るまで、ビジネスの様々な分野で活用できる基本的な心理法則がまとめられています。ここに書かれている知識を知っているのと知らないとでは、ビジネスの様々な場面での説得力や合理的な判断に差が出てくるように思います。

7つの習慣

7つの習慣

経営者には、自分を客観的に見たり、冷静に顧みたりすることができる精神的支柱のような本が必要だと思うのですが、私にとってはまさに本書がそうです。自分自身が納得できる成功を手に入れるための自己管理やリーダーシップの考え方がまとめられています。概念的な内容ですが、応用範囲は非常に幅広く、本書に書いてあることを愚直に実践していけば、自分の望む成功に近づいていけそうな気がします。行動指針などのフィロソフィーや社風を作り上げる上でも参考になります。

起業家の本質

起業家の本質

アメリカのビジネス誌『INC』の元発行人が、起業家に関する考察をまとめた書籍。成功する起業家の共通特性などがまとめられています。起業家としての悩みやジレンマ、よく陥る罠などについて書かれており、小さい事業であっても起業を経験したことのある人であれば、読んで納得できる部分や共感できる部分が必ずあると思います。自分にとっては、役に立つ本というよりは、読んでて元気になる本という感じでもあります。

社長失格

社長失格

最後はこちら。ベンチャーを立ち上げ、脚光を浴び、そして倒産してしまった板倉氏のノンフィクション。華やかに脚色されたビジネス書が多い中、起業や会社経営の暗部が描かれているという点で非常に興味深い一冊。これを読んで「起業はこわいな」と思うか「よしやってやるか!」と思えるかが、一つの踏み絵になるようにも思います。当然、自分を戒める、反面教師的な意味でも学ぶところが多い書籍です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。実際には、こういうのは目指す会社の規模や業態、ビジョンによってかなり変わると思いますし、他にも有益な本は多数存在しますが、まず手始めの入門編として捉えてもらえるといいかと思います。また、そもそもは起業とは関係ない著名なビジネス本が大半で、起業を目指してない人にも役に立つ本ばかりだと思いますので、起業志向じゃない方も、気になった書籍があれば是非読んでみてください。