マーケティング、デザイン、キャリア

Web制作会社の採用担当として、応募者にお願いしたい4つのこと

 

先日、Find Jobに出稿したところ、2週間で40名を越える応募がありました。これが多いのか少ないのかは判断はできないのですが、うちのような知名度も低く小規模なWeb制作会社に短期間でこれだけの応募が来たことは、純粋にうれしいことです。

本来、すべての応募者とお会いしてお話を聴ければベストと思います。しかし、やはり時間の問題があり、書類段階でお会いする方を絞らなければなりません。また当然ながら、面接した方を全て採用する訳にもいかず、どうしてもそこから選んでいかなくてはなりません。

私たちは知識や技術をウリにしている会社なので、スキル面での選定基準は色々あります。しかし、残念ながら、スキルとか経験以前のところで、選定から漏れてしまうということも多々あります。採用活動を行っていると、ごく当たり前のこともやらない人が多いことに気付かされます。

ここでは、Web制作会社への就職/転職を希望されている方が、その成功率を少しでも上げていただくために、応募する際には最低限こういうことはしましょう、ということをまとめてみました。

1:応募メールには、なぜこの会社なのか、という理由を書こう

採用活動自体は、ここ3年ほどはずっと続けていて、応募メールは今までにそれなりの数を受け取ってはいるのですが、約8割以上のメールには「なぜうちの会社なのか?」の理由が書いてありません。志望動機がないのは問題外ですが、志望動機があっても、それはどこの会社でも言えることでは?というようなことを書いて済ませていることが非常に多いです。その場合、私たちはほとんどお断りします。

Web制作会社として際立った特徴が見つけられないとしたら、半分は私たちのブランディングのまずさと思います。しかし、やはり応募してくるからには、なぜ私たちの会社がいいのか、というその人なりの理由をきちんと見つけて、伝えてきてほしいと思っています。

特に、採用サイトから応募される方は、テンプレート化したメールで応募される方が非常に多いです。大手の会社であれば、こういった方から選別する余裕もあるかもしれません。しかし、私たちのような小さな会社が採用を行う場合、スキルや経験だけじゃなく、会社の考えにコミットできるか、ずっと会社を支えてくれる存在なのか、という点もかなり重視します。

そういった視点を持っているから、他社でも使えるようなテンプレート化したメールを送ってくる応募者には、私たちのことを理解していない確率が高い、わざわざ会う時間をとるのはやめよう、という判断が働いてしまいます。

長々と書く必要は全然ありません。文章が特別うまい必要もありません。「あぁ、この人はうちの会社にすごく興味を持ってくれているんだなぁ」と感じさせてくれればいいのです。その一文があるだけで、書類選考を通過する確率はぐっと上がるのではないかと思います。

2:面接の前に、会社のことをしっかり調べて、質問を考えてこよう

うちの会社に興味を持ってくれているのか、という視点は、面接でも重要になってきます。そのため、面接を受ける前に、会社のWebサイトやブログなどを十分に調べて、面接で質問すべきことを、一つでも多く考えてきてほしいと思っています。

私の場合、面接冒頭の自己PRより、どういう質問をしてくるか、を重視していたりします。なぜなら、質問の選び方に、その人が働く上で大事にしていることが見えてくるからです。例え自己PRがパッとしなくても、一生懸命考えてきた質問が多いと、良い印象に変わることもあります。逆に、自己PRが上手だったりスキルが高かったりしても、質問がほとんどなかったり、Webサイトを見れば分かることを質問するだけで終わったりすると、うちの会社にそんなに興味がないのかな、と思ってしまいます。

さらに付け加えるなら、質問をするときには、質問しながらアピールができると理想です。「どういう実績が多いのですか?」という質問ではなく「私はコーポレートサイトのデザインをするのが好きなのですが、そういった実績は多いですか?」といったような具合ですね。応募された方のことを知れるし、私たちも的を射た回答もできるしで、一石二鳥です。

質問こそ、最大のアピールポイントです。しっかり準備して面接に望むようにしましょう。

3:自分の長所も短所も、素直に伝えよう

面接というと、できるだけ長所をアピールしよう、都合が悪い質問は長所に変えて答えよう、と思いがちです。しかし、ウィークポイントのない人間はいません。また、長所と短所は表裏一体なところもあります。こちらからの質問や問いかけに、長所しか答えてない人だと、都合の悪いことは言わない人、あるいは自分の長所と短所をきちんと把握していない人、という印象が強くなってしまいます。つまり、自分を客観的に見るメタ認知能力が低いのでは、という印象を残してしまいます。

就職活動や転職活動のゴールは確かに内定なのですが、長いキャリアを考えると、単純に内定をもらうことではなく、ずっと長く働ける会社から選ばれることが真のゴールではないかと思います。そう考えると、その場を取り繕うように長所しかアピールせず、本当の姿を隠すことは、必ずしもいいことではありません。また、企業の広告などでも明らかなように、長所しか見せられないと、逆にいろいろと疑ってしまうのが、世の常というものです。

クリエイターが成長する上で大切なのは、自信と謙虚さのバランスだ、などとよく言われます。面接も同様で、自信(=長所)と、謙虚さ(=短所)がバランスよく見えた人の方が、実直で付き合いやすい人物に見えたりします。スキルが多少足りなくても、そういう人の方が伸びしろがありそうにも思えます。

面接では、過剰に自分をよく見せようとするのではなく、得意なことは得意、苦手なことは苦手と、素直に答えるようにしましょう。

4:前職(現職)の不満がにじまないよう、細心の注意を払おう

中途採用の面接では、「なぜ今の会社(前の会社)を辞めたのか?」という恒例の質問があります。この質問は、応募者の価値基準を推し測る、非常に重要な質問だったりします。さすがに、露骨に前職のことを悪くいう人はいませんが、少し突っ込んで話を聴いていくと、前職に対する不満をにじませてしまう方が少なくありません。

例えば、「会社が分業化が進んでて、新しいことができない」「ディレクターの仕事が雑で、思い通りのデザインができない」という転職理由を挙げる方がいます。まさにそうなのかもしれませんが、私はよほど納得できる理由がないと、この手のことは前職に対する不満と受け取ります。間違っても、「うんうん、それは辛い環境だよね」などと共感することはありません。むしろ、「周囲とのコミュニケーションで変える余地はなかったのか?」「この人には思い通り仕事をさせた方がいい、と周りが思うくらいの十分な勉強やアピールはしたのか?」と思ってしまいます。

自分がうまくいかないのは会社のせい、だから自分の行動じゃなく会社を変えるんだ、という他責型発想をしていると、どうしても不満ありげな発言になってしまいます。また、こういった不満をポロッと口にしてしまう迂闊さも、採用側としてはリスクを感じるポイントだったりします。

私も3回会社を辞めているので、会社を辞める/変えるというのは、新しい目標に向かう前向きなモチベーションだけではなく、今の環境から抜け出したい、というネガティブなモチベーションもあることは、十分に理解しています。でも、採用する側の企業というのは、嫌なことがあったから辞める人ではなく、嫌なことがあっても頑張る人、嫌なことがあったら自分の手でそれを解決しようと動ける人を求めているものです。前職に対する不満をチラつかせて得することは一切ありません。その点は、十分に注意を払うようにしましょう。

余談

私が最初に就職活動を行った1996年は就職氷河期で、50社近く面接を受けたのに、1社からしか内定をもらえませんでした。結局、就職浪人をして、もう一度就職活動を行いました。当時は珍しかった就職浪人という不利な立場でありながら、再挑戦した時は、1社を除いて全部内定をいただき、第一希望の会社に入ることができました。

社会人になってからは、2度、転職活動を行いましたが、そこでも、応募した会社に落とされることはありませんでした。もちろん、自分を採用してくれそうな会社に申し込んでいたから、ということは理由として一番大きいのですが、就職氷河期で鍛えられたおかげで、どういうコミュニケーションの取り方をすれば、企業が最低限の関心を持ってくれるか、というのが何となくわかっていたからだと思います。私の就職活動の体験談は、ずいぶん昔の話ですが、そこから学んだことは、時代とは関係ない、普遍的なことだったように思います。

就職・転職活動とは、自分を売り込み、企業に意思決定を促すことです。ここには、ビジネスの基本と言えるエッセンスが多分に含まれています。上にあげた4つのポイントも、採用云々ではなく、自社商品をクライアントに売り込むとき、自分の意見で上司を説得するとき、部下に仕事をお願いするときなど、ビジネスのあらゆる現場で必要とされる基本的なコミュニケーションに相通じます。だからこそ、応募者がこういった基本を押さえていないと、そもそもの土俵にもあがれないのです。なぜなら、こういった基本的なコミュニケーションができない、あるいは軽視している人とは、一緒に仕事をしても苦労をさせられることが多いと、企業側は思っているからです。

一応、うちの会社では、という前提のお話ではありますが、こういうことは、他のWeb制作会社、あるいは他の業界でも通じることではないかと思います。是非、就職や転職をする際の参考にしてみてください。

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