後回し癖のある人が仕事ができない理由

後回ししたらタスクが増えた!

先日、プリンタのトナーが切れてしまい、ちょっとバタバタしてしまいました。

トナーが少なくなってることは、アラートが出たタイミングで気付きました。しかしその時は、トナーをオンラインで注文という、実に簡単な作業を面倒と思い、また、すぐにはなくならないだろうという読みから、後回しにしました。

そして、大事な打ち合わせの直前。大量に印刷しなければならない段階で、トナーが切れてしまいました。クライアントにPDFをメールで送り、事情をお話したら、快く代わりに印刷してくれました。ただ、その翌日も打ち合わせがあって印刷が必要だったので、渋谷の量販店に在庫があるかを電話で確認し、急きょ店頭に買いに行き、という感じで、なんだかトナー1つに行動を振り回されてしまいました。

この件は、気づいたときにすぐに頼んでいれば以下のタスクで実行できました。

  1. ネットでトナーを注文する(1分)
  2. トナーが切れたら新しいのに入れ替える(1分)

でも、私がこれを後回しにしたがために、タスクが以下のように膨れ上がりました。

  1. トナーがなくなったことを知って、アタフタする(1分)
  2. クライアントに連絡して、代わりに印刷するように打診する(2分)
  3. 資料をPDF化して、クライアントにメールで送る(5分)
  4. 近所の量販店に電話し、在庫があるか確認する(3分)
  5. 打ち合わせ後、量販店に寄り道し、店頭でトナーを購入する(30分)
  6. トナーを入れ替える(1分)

タスクは2つから6つに増え、2分で済むはずの作業に、42分も費やすことになりました。しかも、ハラハラしたり、クライアントに頼み込んだり、時間以外に神経も使いました。しっかりものという弊社のブランドイメージにも、多少傷がついたかもしれません。

後回しばかりしてると仕事ができなくなるカラクリ

でもこれって、象徴的な出来事だな、と思います。

というのも、多くの仕事は、こうやって後回しにすることで、タスクが増えていきます。全体のタスクの関連性を意識せず、刹那的に仕事をしている人は気づきにくいでしょうが、後回しにすると、だいたいはタスクが増えます。

実際、後回し癖のある人には、いつも忙しそうで、仕事に追われてて、時間のイニシアチブを握れていない人が多くないでしょうか?タスクが増えるということは、8時間で達成できる成果が減るということです。必然的に忙しくなりますし、精神的余裕も減っていきます。じっくり考えて仕事できなくなります。質も落ちていきます。

後回し癖というのは、日々の業務以上に、長期的なスキルアップ、キャリアアップにも大きな影を落とします。

キャリアに影響を与えるような大事なタスクというのは、緊急性が低いものが多いです。後回し癖のある人というのは、こういう、重要だけど緊急性が低い仕事を後回しにします。ずっと後回しにし続けます。その状態で、1年、2年と過ごしていきます。すると結局、何も変わらないまま、日々の業務に追われる毎日を過ごしていくだけになります。キャリア的には大きな進歩もなく、時間を浪費してしまいます。

「やんなきゃいけないのはわかってるけど、忙しくて・・・」というのが口癖の人は要注意。この負のサイクルから抜け出すには、どこかで踏ん張って、緊急性は低いが重要性の高いタスクをこなす時期を過ごし、正のサイクルに切り替えなくてはなりません。

後回しにすべき仕事、そうでない仕事

後回し癖が抜けないのは、今の快楽を優先し、苦痛を未来に先送りする現実逃避を望むからでしょうが、それと同時に、どんな後回しも正当化しようと思えばできてしまうのも、理由の一つでしょう。仕事の中には「後回しにした方がいい仕事」も存在するため、後回しを正当化するのは、たいして難しくありません。

今やった方がいいか、後回しにした方がいいの見極めは、時に難しいものではあります。しかし、本当に後回しにすべきタスクというのは、実は結構少ないのではないでしょうか。具体的にいえば、後回しにするメリットがハッキリしてて、その効果が大きい場合だけです。そうではない、「これはもしかして後回にした方がいいかな?」程度のことは、後回しにする価値がないケースがほとんどではないでしょうか。

具体的に言うと、メールの返信、上司への報連相、スケジュールの調整、打ち合わせの打診、クライアントへの連絡、部下への声掛け、成果物の中間レビュー、プロジェクトメンバーへの周知、飲み会の設定、友達への声かけ・・・。

ついタイミングを見計らって、などと思ってしまいますが、ほとんどのことは、後回しにするよりも、先に動いた方がメリットが大きいものばかりです。後回しにした方がいい理由というのは、結局は後回しにしたい気持ちを正当化するためにとってつけたもので、冷静な判断に基づいていないことが多いのではないでしょうか。

まとめ

先に上げた、「プリンターのトナーは後で注文しよう」という私の気持ちを正当化したのは、その時に行っていた仕事の流れを止めない方がいい、という直感的な思い込みだけでした。

しかし、たった2分であれば、それはすぐに取り返せたでしょうし、44分のロスにはならなかったでしょう。結局このときの私も、「ちょっとめんどくさい」という気持ちを優先させて、未来に起こりうるリスクをちゃんと考えなかったために、失敗してしまったわけです。プリンタのトナーだけの問題であればたいしたことはないかもしれませんが、仕事全般でこういう考えをしていて、後回し癖が体に染みついたら、などと思うとぞっとします。

こういった自分自身の反省を含めて、後回し癖のある人は仕事ができない人だ、ということを改めて肝に銘じしておきたいと思います。