ディレクターがAdobe XDを導入する上で気を付けておくべきこと

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デザイナー 池田 彩華

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先日、毎月開催されているAdobe XDの勉強会「Adobe XD meeting #13」に行ってきた。今回は使い方というよりディレクターなどプロジェクトを進行する人向けの内容だった。概要をまとめると以下の3点になる。

1:利用ツール集約で作業効率化

今までどの会社もドキュメント作成には表も図も配置が可能なPowerPointやExcelを使用することが多かった。中でもExcelは国内企業利用率99.4%とのこと。これは誰でもどんな環境でも使えることを意味する。逆に言うと代替えツールがなかったとも言える。

そこでXDの登場だ。

従来の制作フローだと戦略から実装まで、PowerPointやExcel、IllustratorやPhotoshopなど多くのツールが使われていた。ただこのように資料数が多くなればなるほど、いくつものツールに触れなければならなくなって大変だ。

登壇者の経験談で「急な修正依頼の際、デザイン(Photoshop)には反映したけど仕様書(Excel)には反映されていない」という話もあった。そこで提案書や企画書、仕様書、ワイヤーフレーム、デザインをXDに集約させることで、使うツールの数も減ったそうだ。またディレクターからエンジニアまで一貫してXDから情報を抽出したので引き継ぎのロスも減ったとのこと。

ツールが減ったらコミュニケーションロスも減ったという話は特に興味深かった。そしてこれはXDの学習コストが少なく、簡単に使えるツールであることが大きく影響している。こうした経緯もあるので、XDで積極的にワークフローを変えてみるのはアリだと思った。

2:コミュニケーションコストの削減

ここでベイジのワークフローに置き換えて考えてみた。戦略フェーズのPowerPointによる提案書類やExcelによる解析データは、そのツールにしかない特定の機能を使うので、すべてXDに置き換えることは難しい。しかし無理に置き換える必要もないと思う。

理由は、デザイナーやエンジニアが提案資料を一つ一つ見るということはなく、引き継ぐ段階で分かりやすいように、膨大な情報から別途社内向けのブリーフィングシートを作成するからだ。

直近でツールが置き換わるのは、ワイヤーフレーム制作とデザインのレイアウト制作になる。今も案件によっては一部導入がスタートしているが、まずはワイヤーフレームからXDを使用することで、ディレクターとデザイナー間のコミュニケーションコストはかなりカットされる。

エンジニアにとっては機能的にまだメリットが少なく業務時間が短縮されるわけではないが、今後のツールの発展次第で作業が今よりもスムーズになる可能性もある。XDの積極的な導入で仕事の状況が変わるのが今から楽しみである。

3:クライアントにとってのXDの価値

クライアントからすると、正直求める成果物ができればツールは何でもいい。どんな新しいツールを導入したとしても、この認識は変えるべきではない。

ベイジで初めてXDを取り入れた案件だと、ワイヤーフレームの設計段階でXDを使用した。提案時にはXDから書き出した画像を貼り付け、解説とともにPowerPointでまとめた資料として提出した。実際のミーティングの際にはその資料 + XDで作成したプロトタイプをスクリーンに写して確認した。

加えてXDにはURLを発行してデザインを確認する機能がある。そのURLをクライアントに渡したが、わざわざXDのツールだとは説明していない。

ツールが増えるとどうしても「ツールが増えるの?どれを確認すればいいの?それって上長にそのまま見せられるの?」と考える人が少なからずいる。皆確認や検討に時間を割きたくないのだ。ツールなどどうでもよく、提案されるものが使い易く見やすければそれでよいのだ。

また、クライアントに「フィードバックはXDのコメント機能を使ってください」と依頼すると、使い方がわからず混乱する人もいる。なので、XDの導入が初めての案件の場合は相手が困らない程度にさりげなく使用するのが良いのではないか。

最後に

制作会社や事業会社で仕事内容は違ったとしても、限られた時間の中でいかに業務を効率化させるかということは共通のテーマとしてある。会社の規模感やツールにこだわりがあるなしによって、新しいツールの受け入れ体制は異なるかもしれない。

どんな環境でも導入へのハードルは必ずあるが、その時に現状のワークフローのどの問題が解決されるのか、私たちにどういったメリットがあるのかを言語化して整理・共有することで、導入を前向きに検討できるのではないかと感じた。

ベイジもまだXDの導入が始まったばかりで試行錯誤中だが、勉強会で学んだことや実際に使ってみた感想を積極的に共有して、社内全員でこれからXDがどう活かすのか、ということを話し合っていきたい。

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