気が利くディレクションノウハウの根底に持つべきこと

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執行役員 / コンサルタント 今西 毅寿

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相手との心地よいコミュニケーションには「気配り」が欠かせない。

例えば初対面の人と会話をする時は、まだまったく信頼関係が構築されていない状態から始まり、細かな会話の節々から互いの興味関心を掘り下げ、会話の糸口を見つけ、相手のことを少しづつ知っていく、というのが一般的なコミュニケーションの流れと言える。

相手の言葉の中にあったキーワードを拾い「〇〇について興味をお持ちなんですね。それなら〇〇が面白いですよね。」「それって〇〇ということですか?」と話を広げれば、相手も自然と自分の思いや考えを言葉にしやすくなる。これはビジネスの場でもまったく同様だ。

ベイジの行動指針の中に「気が利くとは、他人の責任範囲にも関心を示しサポートすることである。頑なに自分の責任範囲しか実行しないのは気が利かない人間のすることだ。」というものがある。

この言葉にあるように、プロフェッショナルとは自分の対応範囲だけを全うするのではなく、他人の興味や悩み、仕事の範囲などにも関心を持ち、その部分に積極的に触れることができる人だ。

ディレクターであれば打ち合わせの場で、自分達がサイト制作を進める上で必要な情報を確認する状況が多々ある。しかしビジネスの背景や担当者の悩みの部分への共感もなく、制作に必要な確認事項だけを淡々と話しているだけでは、相手からすると「この人本当にうちの仕事に興味を持ってくれているのか?」「機械的な対応だな」「つまらない打ち合わせだな」と思われる可能性もある。

顧客のビジネスに興味を持てば、例えばお客様が自社の組織体制についての話をした際、新しいグループ会社が加わったという話が出た際、最新のサービスがリリースされた際には、その背景や目的、狙っている効果などに興味を持ち、自然と質問をするだろう。そこで交わした会話から得られる情報は、それまで見えなかった仕事の背景であり、サイトすべての根底に影響を与える可能性もあるので、特に大切にすべきだと考えられる。

とは言え、興味を持って質問するという行動は大切だが、この「質問」という形式だけをなぞって行動している間は、本当の意味で気配りができているプロフェッショナルとは言えないだろう。世の中ではコミュニケーション全般においてすぐに使えるノウハウが溢れているが、大切なのはそこではない。

もちろん、最初に自分の行動を変えるために相手に興味を持ち、積極的に質問をすることは大切なアクションだ。しかし本当に大切なことはその先にある。誰しも好きなことであれば言われなくても深堀りして調べ、知識のある人に尋ね、隙間時間を見つけて関連記事を読み漁る。こうした興味を掘り下げる行動を自然と自分にやってくれる人を、お客様は求めている。

何度かしか会ったことのない人が自分のために親身になってくれた時、どんな気持ちになるだろうか。こうした姿勢があれば、前述したような「興味を持って質問する」という形式にとらわれなくても、質問の仕方が多少下手であったとしても、それは大きな問題にはなりえないはずだ。

最後に、与えられた仕事に対してそこまで興味を持てないと考える人が居るとすれば、その人はまだまだプロフェッショナルとは呼べない領域にいるのではないだろうか。自社をパートナーとして選んでもらい、自分という役職を信頼してその仕事を与えてもらっている状況だからこそ、その期待に応えられるチャンスがある。この考え方を根底に持つことで、自然と気配りのあるコミュニケーションが取れるようになるのではないか。

上辺だけでない、本当の気配りの利いたコミュニケーションとはどういうものなのか、今後の自分の行動の上でも綺麗事でなく考えていきたい。

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