webサイトをコンテンツとして成立させるには、テキストや写真、図版といった要素が必要になるが、ベイジではコピーをクライアントに用意してもらう場合と、社内で作成する場合の2つのケースがある。
クライアントにコピーを用意してもらう場合であっても、webサイト用の最終調整は社内で行っているが、あらかじめ注意点を明確に伝えておくことで、その後のリライトにおける精度を高められると考えている。
例えば以下のような点だ。
クライアントはコピーライティングを専門にしておらず、webサイトに掲載するような原稿を準備する機会も少ないだろう。そうすると、自社を良く見せるために格調の高さや情緒的な印象を感じる抽象的なワードが多用されてしまい、結果的に伝えたい内容がよくわからない、他社でも同じことを言っていそうなコピーになってしまうケースがある。
具体的には、抽象ワードの例として、以下のような言葉は極力使わずに原稿を作成してほしいと、事前に伝えるようにしている。
最大化、的確に、最適な、多様な、多彩な、見える化、ワンストップ、ナレッジ、ハイレベル、トータルな、豊かな、Win-Win など
言葉のノイズとは、言うまでもない当たり前のことや、同じようなことを繰り返す説明、前後の文脈を読めばわかることなどが挙げられる。情報量が同じであれば、文字数が少ない方が伝わりやすいことを前提にして、原稿は作成した方がよい。
これは自分たちでも注意しているが、一度書いた文章を、意味や言いたいことは変えずに文字数を削ってみると、思いのほか文字数を減らすことができる。つまり、最初の文章では、情報を伝えるためには不要な文字だったことがわかる。webサイトに訪れるユーザーは高速で画面を遷移して、多くのコピーは読み飛ばされてしまうので、端的に情報を伝えることが必要になる。
クライアントがコピーを作成する場合、自分たちの業界や仕事内容について、まるで誰もが知っているかのようなコピーになってしまうケースがある。しかし、多くの場合は知らない情報が多く、前提の説明をきちんと入れないと、初めて見るユーザーは話がよくわからない状態で文章を読むことになり、意図が伝わらない文章になってしまう。
専門用語には補足説明を入れる、安易に略称を使用しない、前提条件を知らない人が読んだときに、違和感なく受け入れてもらえる文章になっているかなど、ユーザー目線を持って注意する必要があるだろう。
一方で、社内でコピーを作成する場合には、参考となる情報を先方に用意してもらう必要があるが、単純に元となる素材を依頼するだけでは、リニューアル前と変わらない内容になってしまう恐れがある。
例えば、このページは4つの構成になっているので、こういった観点で参考となる素材が欲しい、問題提起のパートでは、営業活動の中で顧客からよく相談を受ける内容があれば具体的に教えてほしい、といったように、集めてほしい素材のポイントを漏れなく伝える必要があるだろう。
あまり長々と伝えてもわかりにくいと思うので、プロトタイプも提示して仕上がりイメージを確認してもらい、素材を集めてもらった方が効率がよい。
過去には採用サイトのリニューアルプロジェクトにおいて、集めてほしい素材のポイントが明確に伝えられておらず、ページによってはイメージしていたものとは異なる原稿が来てしまったことがある。こうなると、双方にとって無駄な修正の工数がかかってしまう。
「コピーライティングは書く作業より、材料を集める作業がメインになる」とよく言われるが、どのようにアウトプットするか具体的なイメージを持った上で、有効な素材収集方法を考える必要があるだろう。過去のやり方を踏襲するのではなく、わかりやすく、かつ効果がある方法をその都度考えるようにしたい。