相手の負担を軽くするメール送信時のポイント

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執行役員 / コンサルタント 今西 毅寿

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ディレクターである自分は、日常的に多くのメールをプロジェクト関係者とやり取りしている。最近のプロジェクトでは、メール以外に各種チャットツールを利用する頻度も増えており、テキストコミュニケーションの重要性が以前にも増して高まっている。

誰しも忙しい仕事の合間に、メールを読むこと自体が楽しいという人はいないのではないか。しかし、気が利く人は受け取る相手の立場に立ち、限りなく分かりやすいメールを送ってくれる。

これまで受け取ったメールのなかで、「気が利いている」「分かりやすい」と感心したメールの共通点を、自分が注意している点と合わせてまとめてみたい。

メールの件名が分かりやすい

件名は優先的に読むべきメールなのかを判断する上で、とても重要な要素になる。メールボックスに多くのメールが溜まってくるなかで、一目で内容が分かり、確実に読んでもらえるよう具体的に書くべきだろう。

例えば、「打ち合わせの件」といった件名でメールが届いても、どのプロジェクトのことなのか、いつに予定している打ち合わせのことなのかが分からない。「1/22(水) キックオフミーティングのアジェンダ送付」など、具体的な内容を件名にした方がいい。

ベイジでは、プロジェクトごとに英数字を使ったプロジェクトコードを決めているので、件名の冒頭には [ABC] のように必ず入れるようにしている。プロジェクトコードが入っていることで、複数のプロジェクトが同時並行で進行していても即座に識別ができるし、メールの振り分けで該当フォルダに格納することもできる。

即答できない場合は一次返信を入れる

メールの場合、相手がちゃんと読んでくれたのかの確認が難しい。自分が送ったメールが相手に届いているのか?読んではくれたが忙しくて返信ができないのか?など、メールを送信した側としては誰しも不安に感じると思う。

そんな時は、「明日の12時までに返信します」のように一次返信を貰えるだけでも不安は払拭されるのではないか。

また、メールの送信時には宛先を本人だけではなく、関係する社内のメンバーにもCcを入れておいた方が安心だ。社内のメーリングリストを入れておくことで、担当者がすぐにメールを確認できない状態でも他のメンバーが一次返信をすることができる。メールのリアクションがすぐにあることは、信頼を積み重ねる上で非常に重要な要素になる。

相手の立場に合わせた内容になっている

コミュニケーションは伝える相手によって粒度を変えるべきだが、メールも同様になる。

例えば、マネジメント層のように毎日さまざまな人から大量に報告を受けているような多忙な人は、曖昧で分かりにくいメールを送るとスルーされる可能性が高い。そういう人に対しては、結論から端的に伝えること、依頼事項を箇条書きなどで伝えた上で、いつまでに返信が欲しいかも明確に伝えた方がいいだろう。

一方で、現場の担当者であれば、できるだけ細かい指示が欲しいケースも多い。また、アクションを起こしてもらうためには、前提条件や事象の背景も丁寧に伝えることも必要だろう。相手のリテラシーも考慮しつつ、理解してもらえる依頼内容にしなければならない。

添付がある場合、本文に抜粋したサマリーがある

メールに資料を添付するケースは多いが、添付ファイルを開いて見る行為は面倒くさい。忙しい状況だと、添付を開かずにスルーしてしまうこともあるだろう。

だからこそ、添付した資料にはどのようなことが書いているか、メールの本文に抜粋して書いてあることで、受け取り側の負担を大きく減らすことができる。

私たちのようなweb制作会社であれば、WBS(Work Breakdown Structure)という作業を分解したスケジュールを送るケースも多いが、多くの人は数ヶ月にも渡るプロジェクトのスケジュールを見てもすぐには理解できないだろう。デザイン制作は●日~●日まで、公開日は●月●日のように主要なスケジュールが記載されているだけで、全体像を理解してもらえるのではないか。

なお、資料の一部を抜粋するような場合は、大事なところが抜け落ちた状態で抜粋すると誤解を招く可能性もあるので、抜粋の仕方には充分に注意する必要はある。

変更した点がすぐ分かるようになっている

上記の本文の抜粋と似た理由だが、添付資料を見る行為は負担が大きいのに、前回の資料との変更箇所が分からないのは、見る側にとってかなりストレスだ。

Excelのような表形式であれば、変更したセルに色を付ける、追記した文章は赤文字にするなど、ひと目で変更した点が分かる配慮が必要ではないか。

PowerPointで作成するような何十ページもある資料の場合、ページの右上に「更新」と目立つように囲み文字を入れておくような配慮があると、更新されたページのみをすぐに見つけることができるので、確認が漏れるリスクを減らすことにも繋がる。

複数の話題がある時は見出しがついている

メールはチャットツールと違い、入力欄があるわけでもなく、いくらでも長い文章を書くことができる。そのため、油断すると文章が長くなりがちで、読む側に負担をかけてしまう。

例えば、webサイトの製品詳細ページやブログの記事を読むような場合、適切な見出しがない状態で本文がだらだらと書いてあったら、誰も読みたいと思わずにそのページから離脱してしまうのではないか。

メールも同様で、複数の話題がある場合には適切に見出しを入れておいた方が理解してもらいやすい。HTMLメールで装飾するような必要はなく、単純に「■見積書について」のような見出しが各所に入るだけでも格段に分かりやすくなる。

疑問を持つであろう箇所を先回りして書いてある

メールはチャットほど即時性があるツールではなく、やり取りには数時間から場合によっては数日かかることもある。

そうすると、こちらから伝えた内容に対して相手が質問を感じたり、関連して別な質問が思い浮かんだりした場合、メールの返信にはこちらが求めていた答えではなく、再度質問で返ってきてしまう恐れがある。

こういった事態は可能な限り避けるべきで、仕事のスピードを落としてプロジェクトが遅延することにも繋がってしまう。メールを送る場合には、受け取った相手が疑問を持つかもしれないことを先回りして想像し、そのことに関する回答も書いておくことで、無駄なメールのやり取りを減らすことができる。

クッション言葉があり一方的に詰めるような伝え方をしない

「クッション言葉」とは、相手にお願いや質問、指摘をするような場合に使われる前置きのことだが、これがないと一方的な伝え方になってしまい、相手の心象を悪くする可能性がある。

メールを送った本人にはそんなつもりはなくても、「一方的だ」「言い方が冷たい」「こちらの都合を考えない」など、ネガティブな印象を持たれては、こちらが求めているような返答をもらえないかもしれない。

ただでさえテキストのコミュニケーションは冷たく感じられるものだ。端的に分かりやすく伝えることは重要だが、相手の気持ちに寄り添わずに一方的に伝えることはすべきではない。

最後に

ここまでにまとめたメール送信におけるポイントは、対面でのコミュニケーションを考えるとどれも当たり前のことだ。しかし、目の前に生身の人がいないため、相手に負担をかけないように丁寧に対応する視点が抜けてしまいがちだ。

PCやスマートフォンの画面に向かっていても、受け取る相手の顔やシチュエーションを想像し、「どうすれば相手の負担を減らすことができるのか?」「円滑なコミュニケーションを取れるのか?」を徹底して考え実践するようにしたい。

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