ディレクターの教育を精神論で終わらせないためにはどうすべきか?

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執行役員 / コンサルタント 今西 毅寿

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ディレクション業務は対応範囲が広く、会社によって作業内容や方針が異なる。それもあってか、「ディレクターの教育は難しい」と言われることが多いように思う。

私自身、10年以上ディレクターとして働いているが、誰かにディレクションについて教わったわけではなく、実際の仕事やセミナーへの参加、他社のディレクターとの交流などを通して理解を深めてきた。

Twitterでフォローしているディレクターさんも、比較的独学で学んできた人が多い印象だ。

一方で、そのような教育の仕方、学び方だと精神論に頼りがちになってしまう。

今後、経験が浅いディレクターを教育するにあたっては、実際に仕事を通して学んでもらうだけでなく、体系化された教えが必要になる。そのためには以下のような点が必要だと思う。

1.汎用的な仕組みを作って業務を属人化させない

ベイジには、プロジェクト開始から公開後のフォローまでを約140のタスクに分解したワークフローが存在する。

ワークフローを構築すると、受注から公開までのタスクがリストアップされ、やるべきタスクの抜け漏れが起きにくくなる。

また、属人化を防げるので各ディレクターが自分の経験則ベースでディレクションを行うこともなく、明確な指針でチームをまとめることができる。

経験則や感覚的なものに頼らず、自分の外に指針があるディレクションは、ディレクターの教育にも必要だと思う。

誰かの感覚に基づいたディレクション教育だと、基礎が身に付かず、パフォーマンスが安定しにくい。

しかし、方法が仕組化されていればどの業務でも一定の結果を出すことができ、振り返りもしやすいので、よりよい学びや教育に繋がるのではないだろうか。

2.窓口になってもらい後方でサポートする

座学だけでディレクションを身に付けるのは難しい。実際のプロジェクトを通してでないと、各タスクの役割やドキュメントの目的・効果が見えにくい部分があると思う。

とはいえ、場数を踏んでない段階でいきなり大規模プロジェクトに入っても、納品までの流れをつかみ損ない、やるべきことが追い付かずに後手後手の対応になって炎上しかねない。

まずは上長となるディレクターがサポートすることを前提に、小規模なサイト改修やLPなど納期も短いプロジェクトを担当して、成功体験を増やしてもらうとよいのではないか。

規模が小さくても、プロジェクトの開始から納品までを担当することで、サイト制作の全体像は理解しやすくなる。ディレクターとしての役割や影響度を身をもって実感することもできる。

3.小まめにフィードバックする

人には得意・不得意があるので、その人固有の課題に対してフィードバックをし、改善策を考える必要がある。

自分であれば、課題と感じていた打ち合わせ時のリーダーシップやコミュニケーションの取り方についてのフィードバックをよく貰っていた。

フィードバックの重要性はディレクターの教育に限った話ではない。ベイジでは昨年から、新入社員の方にはオンボーディングシートを個別に作成し、1on1でフィードバックを行っている。

フィードバックで重要なのは、気になることがあればすぐ本人に伝えることだ。数週間経ってから伝えても、当時の記憶は曖昧になっているし、本人の納得感も低くなる。

フィードバックを受けることは誰しも辛いだろうが、後々になって効果が出てくると思う。

4.考え方や姿勢を言語化する

自分は課題を改善させるために、フィードバックとあわせて打ち合わせの前後に「ディレクターの心得」を確認していた。

「ディレクターの心得」とは、ディレクターが個別に抱える課題に対して、改善するための考え方や姿勢を身に付けるために作られたものだ。

心得の内容はディレクターにより異なるが、私であれば以下のような内容だった。

  • 口癖は「こうした方がいい」「こうすべきです」
  • 口癖は「結論からいえば」「結論からいって」
  • 理由はメリットとデメリットを必ずセットに
  • 顧客の要望を必須事項と受け取らず、より良いアイデアを出す
  • 手段を考えるのは私たちの仕事。顧客は意図をいえばいい

なお、今後はデザイナーやエンジニア用にも心得を作成していく予定だ。

おわりに

これまでのディレクター教育は独学や精神論が中心だった。しかし、パフォーマンスが安定したディレクターを育てるためには、先輩からの指導や体系だった教育が必要だと思う。

組織の強化を目指すベイジは、今後も業務の拡大に伴いディレクターが増える可能性がある。

自分自身の研鑽はもちろんだが、教育面の見直しも含めて強い組織作りに取り組んでいきたい。

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