エンジニアブログを開設してわかった、成長過程のチームが情報発信に取り組むメリット

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エンジニア 菅野 黎樹

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ベイジは7月から「baigie/engineer blog」(以降、エンジニアブログ)という技術情報発信メディアを立ち上げた。運営は完全にエンジニアチームのみで行っており、これまで大体週に1本のペースで記事を公開できている。運営体制はカッチリとは決めておらず、楽しみながらブログを書く習慣がみんなに定着することと、実務との両立が当面の目標だ。

ブログ自体はエンジニアの採用強化を目的に始めた活動だが、この数か月を振り返ってみるとチーム内の情報共有や育成にもいい影響を生んでいることに気が付いた。そこで今回は本来の目的から視点を変えて、「ブログはエンジニアチームをどう変えたか?」というテーマで取り組みを紹介したい。

結論から先に言ってしまうと、現在ベイジのエンジニアチームではブログを軸に「書く⇒続ける⇒学ぶ」のサイクルが回り始め、知識を補いあえる強いチームへと変化しつつある。

【書く】メンバーの専門領域や強みの可視化

ベイジはフルリモートになってこの3年で5人のエンジニアがチームに加わり、働くメンバーのバックグラウンドが急速に多様化した。前職でバックエンドエンジニアをしていた人がいたり、DBを専門にしていた人もいたり、一人ひとり経験してきた仕事や興味がある領域、集中的に磨いている得意分野が違う。

それがベイジのエンジニアチームの面白さに繋がっていると思いつつ、案件で忙しい中個人の積み重ねや過去について詳しく聞ける機会は限られていた。同じように、リモートワークになってから一人ひとりの知識を全体に還元させにくくなったという悩みを抱えるチームは多いのではないかと思う。

しかしエンジニアブログが始まり、月曜朝のもくもく会と日報を書く時間を記事執筆にあてられるようにすると、デザインシステムの探究者やインフラのプロ、Wordpressの有識者、隠れプロジェクトリーダー経験者などの存在が急に浮かび上がってきた。「自分の好きなテーマで書く」という方針のもと記事が増えるにつれて、自然とメンバーの専門領域が可視化されたからだ。

自分が知らなかった技術情報を紹介してくれた記事の執筆者にはもっと詳しく話を聞きたくなるし、比較的実務に取り入れやすい内容を扱った記事はチームミーティングで業務改善案としてアジェンダに上がってくることもある。技術的なことで悩みを抱えた時も、どの”専門家”に相談すればいいのかわかりやすくなった。

【続ける】書きたいから書く+誰かのために書く

ブログを書くにはモチベーションをどう維持するかも課題だ。その点現在のエンジニアチームは、継続を個人のやる気頼りにしない環境ができているのかもしれない。

たとえば、一人ひとりの専門領域が可視化されたことで、メンバーから「こんなテーマで記事を書いてほしい!」というリクエストをもらえるようになった。確実に誰かのためになると分かっている状態で書ける方が、自分で書くことを決めて記事を仕上げるよりモチベーションは保ちやすい。

また、人によってはブログ用に新しい記事を書くのではなく、社内の研修や教育用に整理した情報をそのままエンジニアブログで公開することもある。現在エンジニアチームは11人、ベイジの全従業員は約40人。新しく資料を作っても、だいたいそのくらいの人数にしか読んでもらえない。しかしブログとして公開すると社内の枠にとらわれず多くの人の目に触れる機会が生まれるし、それだけたくさんの反響をもらえる可能性がある。

エンジニアブログで公開した記事に対する社内からのフィードバックやSNS上の反応、ビュー数の伸びはすべてチェックし、チーム内でシェアしている。些細なコメントもすべて、手を動かす原動力に繋がっている。

やる気は自分にしかコントロールできないが、動機は自分の外にも見出せる。こうして、読まれることからモチベーションを得ながら、チーム内の情報共有を活性化させられるいい流れが生み出されている。

【学ぶ】個人のキャリアステップを支える

強みや興味関心をもとに記事を書いて専門領域を見えやすくすることは、スキルや身に着けた能力の棚卸にもなる。自分で書いた記事を眺めていると、これまで思いもしなかった特長や可能性に気付くきっかけになり、キャリアの発展に活かせるかもしれない。

すでに備わっているスキルだけではなくて、足りていないスキルについても同様だ。今の自分にはどんな知識が足りていないのか、ほかにどんな分野を学べばいいか、弱みも正しく把握できればスキルアップしやすくなる。新しく学んだことがあれば、それもまたブログ記事のアイデアに繋がるだろう。

ベイジは現在フルリモートワークが定着し、デザイナーやライター、コンサルタントといった職種では地方在住のメンバーも増えてきている。働く選択肢がより多くの人に開かれたのは間違いなくいいことだ。

しかしその反面、ベイジでキャリアを積むために受けられるサポートとは、困った時に何でも教えてくれたり、ロールモデルになる誰かが隣に居てくれるということでは無くなってきている。実際、下北沢のオフィスに日常的に通勤しているエンジニアは0人だ。

エンジニアブログのこうした取り組みを通して、離れて働くメンバーのキャリアステップを少しでもサポートできればと思う。

おわりに

まとめると、エンジニアに限らず成長過程のチームにとってブログをやる意義は、チームの認知度向上や採用といった組織の課題から個人のスキルアップまで幅広い部分にある。

私たちも正直なところ、採用強化目的でブログに取り組み始めてしばらくは執筆がメンバーの負荷にならないか懸念していた。しかしこうした効果に気付いてから、無理なく続けるイメージが持てるようになった。

フェーズの目標によって取るべき行動や小さな目標は変わるものだから、もし最初は数字で見える組織の成果に繋げられなくても、社内の育成やチームビルディングの一貫としてブログを始めてみるのもおすすめだ。

「エンジニアのみで取り組む情報発信のコツ」も知見が溜まり始めているので、準備が整ったらまたエンジニアブログで公開したい。

 

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