どんなサービスでも担当者が変わると不安になる。病院や美容室などの身近なサービスではもちろん、BtoBサービスでも同じことが言えるだろう。
ベイジのウェブサイト制作では、戦略策定はコンサルタント、設計と制作はライターとデザイナー、実装はエンジニアと、メイン担当者が交代しながら進んでいく。メインの担当者が変わるたびに、クライアントは多少なりとも不安になっているかもしれない。
とくにコンサルタントからクリエイターに担当者が変わるときは不安を感じやすいタイミングだ。商談から戦略策定まで担当するコンサルタントはクライアントのもっとも良き理解者で、厚い信頼を得ていることが多いからだ。
担当者が交代しても、信頼を継続するにはどうしたらいいのか。そのコツのひとつは「質問」にあると感じている。具体的にはコンサルタントが主体となって進める戦略策定の場に同席し、必ずクライアントに質問をするようにしたのだ。
といっても戦略策定ではビジネスやマーケティングの議論が中心。つねに質問がポンポンと浮かぶわけではない。そこで3ステップで準備をしてから、打ち合わせに臨むようにした。
①インプット
まずはクライアントのサービス、市場、顧客についてインプットする。提供された資料やウェブサイトなどを使って調査をし、自分なりに情報を整理する。
②コンテンツ案
ある程度の知識が得られたら、仮説ベースでコンテンツ案を作ってしまう。この過程で理解が足りない箇所やより深く知りたいことがおのずと見えてくる。競合との差別化要素はこれで合っているのか、顧客のペインはずれていないだろうか、などさまざまだ。
③質問リスト
そうして見えてきた「知りたい」をリストにしておき、打ち合わせの場でクライアントに直接質問をしていく。
質問へ回答をもらうだけではなく、「質問」という行動を通して得たいことを裏目的として持っておくのもオススメだ。私の場合は以下のような裏目的を持つようにした。
これらを達成できると、設計・制作のフェーズに入ってからもクライアントとのやりとりがスムーズに行くことが多い。クライアントから「対応が一貫していて安心した」「メンバー全員が同じレベルでサービスを理解できている」との言葉をいただくこともある。
クライアントには役員や事業部長など上位レイヤーの方もいる。そのため「ヘタな質問をしてレベルが低いと思われないか」と気おくれする人もいるかもしれない。
しかし私の経験では、創業社長や取締役からも常に丁寧に回答をしてもらえた。ビジネスや組織を理解しようとする姿勢は好意的に受け取られるだろうし、打ち合わせの場で置き物のように座っているよりも、よい印象を与えられるのではないだろうか。
クライアントの解像度を上げること、それを自分事化することで、「質問」が生まれる。企画や戦略からクライアントと関わるチャンスがあるクリエイターの方々は、「質問」を投げかけてみると、さらなる信頼を獲得できるかもしれない。