ウェブディレクターという職種柄、社内・社外含め、数多くのミーティングに出席している。その中でも、進行役(ファシリテーター)によって、「今日のミーティングはわかりやすかったな」と思うときと、そうでないときがある。その違いは何かを改めて考えてみて、原則として整理をしてみたので共有したいと思う。
ミーティングには、必ず目的やゴールが存在する。しかし、これらを明確にしないまま本題に入ってしまうミーティングを今まで何度も見てきた。最終ゴールが何かわからないまま議論を進めると、本当に達成したかった目的とズレが生じたり、得たかった情報が得られなかったりし、再度ミーティングをするハメになってしまう。
そのため、仕事におけるミーティングの目的を下記の大きく5つの場に分類して、頭に入れておくと、目的を明確にしやすくなるのでオススメだ。
プロジェクトの進捗共有のミーティングなどが当てはまる。「顧客の要望で仕様変更が発生した」、「開発メンバーに病欠者が出て進捗が遅れている」などチームメンバー間で必要な情報を共有することが目的のミーティングだ。情報共有をすることによって、全員が同じ理解を持って作業を進めることが可能になる。
複数の選択肢から最適な方策を選ぶことが目的のミーティングだ。「ウェブサイトの企画を提案し方向性を決める」、「ビジュアルデザインのパターンを複数作成し、どのデザインで進めるか決定をする」などのミーティングが当てはまるだろう。複数人での議論を行うことで、より総合的な視点から判断を下すことができ、ミーティングはこれらの決定を迅速かつ効果的に行う場として機能する。
チームが直面する問題や課題に対して、ミーティングを通じて複数の意見やアイデアを出し合い、最良の解決策を模索することが目的となる。例えばワークショップ形式でブレインストーミングを行ったり、フレームワークなどを使うことで、効率的にアイデアや意見を出しやすくすることができる。
チームメンバー間の関係を強化し、協力を促進するためのミーティングが当てはまる。キックオフミーティングやロールセッション(※1) がこれらに当てはまるだろう。直接顔を合わせることで、お互いの信頼を深め、チームとしての一体感を高めることができる。
(※1) プロジェクトの初期にメンバーそれぞれのやるべきこと、苦手なこと、期待されることなど、明文化して共有し、相互に役割を擦り合わせるミーティングのこと
自分の企画した提案内容が課題解決に沿っているか評価をもらったり、個人の業務成果に対するフィードバックを提供してもらうことが目的のミーティングが当てはまる。壁打ちやフィードバックを実施することによって、提案内容がブラッシュアップされたり、メンバー自身の成長を促すことができる。
いきなり仔細の議題から入ってしまう人がいるが、全体像が見えないので、聞いている側は不安になってしまうだろう。まずはミーティングのアジェンダを共有し、全体像を示すことはマストだろう。
また、何らかのプロジェクト中のミーティングであれば、プロジェクト全体における現在地を示すことで、そのミーティングの目的やアウトラインも見えやすくなる。
前提情報の共有が抜けてしまったがために、「そもそも~」と前提情報の議論から進めることになってしまい、無駄に時間を消費してしまう(私はこれを「そもそも先祖返り論」と呼んでいる)。
数カ月間におよぶプロジェクトの場合、以前のミーティングでどんな議論をしたか、どんな結論になったかメンバーの記憶が曖昧になっていることが多い。そのため、前提情報の共有をした上で、本題に入っていくというのは不可欠な進め方だ。
また、初めてそのMTGに参加される人がいる場合、前提情報が共有されていないと理解が追いつかず、置いてきぼりになってしまうこともある。こういう人たちに対してサラッと前提情報を共有できる人がデキるファシリテーターだろう。
以上がミーティングを円滑に進めるための3つの原則だ。もしあなたがミーティングの進行役を任せられたら、少しでも今回の記事を参考にしてみて欲しい。