エンジニアが考える会社と社員の「あるべき姿」

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エンジニア 菅野 黎樹

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エンジニア界隈では、「エンジニアはプライベートでも勉強すべきか」という議論がよく起こる。この質問へ答えるにあたって、私は立場ごとの「あるべき姿」を意識することが大事だと考えている。

会社員として働いているエンジニアを例に考えてみると、「エンジニアはプライベートでも勉強すべきか」という議論に関係する立場は大きく2つある。雇用主である会社やチームと、雇われているエンジニア個人だ。この2つの立場で、上記の議題に対しての「あるべき姿」は真逆になるだろう。

会社の「あるべき姿」

各エンジニアがプライベートで勉強をしなくても業務を成立させられるようにするのが、会社やチームの理想的な姿だ。そのために、仕事の組み方を工夫したり、業務に必要な知識やスキルは業務時間内に学べる仕組みを作ったりする必要がある。これはエンジニアを管理する側としての責務であり、組織全体で仕事を回す側の「あるべき姿」のようなイメージだ。

例えばベイジのエンジニアチームでは、以下のような取り組みをしている。

  • 週に一度の勉強会
  • 月に一度の外部講師を招いた最新技術の勉強会
  • チーム内でつまづきポイントを質問できる時間を取る

ベイジにはエンジニアだけではなく、会社全体でもこういった勉強の機会が用意されている。

エンジニア個人の「あるべき姿」

一方で、会社がケアしてくれるからといって、各エンジニアが「会社はきちんと仕組みを作るものなので、私は勉強しない。それによって業務に支障が出ても私のせいではない」というロジックを振り回していいかというと、そんなことはない。

エンジニア側も、自分の担当業務を達成するために必要な努力はすべきだと思う。キャリアアップなどの欲求もあり、まだ自分は未熟だという自覚があるのなら、なおさら努力が必要になる。

「あるべき姿」は自責で問う

この「あるべき姿」の捉え方はエンジニアだけではなく、組織で働くすべての人に当てはまるだろう。「会社はもっと給料を上げるように〇〇すべきなのにやってくれない」「会社は社員の成長のために〇〇するべきなのにやってくれない」といった意見は少なくない。しかしこれでは、会社だけに「あるべき姿」を要求して、自分のことは棚に上げているように感じる。他責ばかりで自責の意識がないとも言えるかもしれない。

会社が仕組みを整えるべきという意見も一理あるし、実際には家庭の都合や体調などの事情で、常に個人の努力だけで業務を成立させるのは難しい。とはいえ、まずは自責で努力することが大事なのではないか。

「あるべき姿」は変化する

また、「あるべき姿」は自分の立場やキャリアのフェーズによって変化していく。後輩を育成したりチームメンバーのマネジメントをするのであれば、会社やチームに求められる「あるべき姿」も当然意識しなければいけなくなる。立場ごとの「あるべき姿」を理解できていれば、今の自分が取るべき姿勢やアクションが明確に定まったり、能動的に人生を歩んでいる実感を得られるのではないだろうか。

「エンジニアはプライベートでも勉強すべきか」という質問への回答も、自分がどの立場にいるかによって変化する。その前提を理解した上で日々の業務に取り組むことで、会社と社員の間に良い循環が生まれるのだろう。

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