webデザインの工程は大きく分けると2つある。トップページと幾つかの下層ページを作成する「ベースデザイン」と、そこで決まったトンマナに従って下層ページを制作する「デザイン展開」だ。私が主に関わるデザイン展開ではベースデザインで決められたルールの理解が必須だ。
当たり前だが、ベースデザインの段階でフォントサイズやマージン、テキストリンクなどのルールがきちんと決まっているとその後のデザイン展開が進めやすい。ただ、展開を進める中でそれまで出てこなかったモジュールが出てくることもある。私はこのときに迷うことが多い。
ベースのデザインルールがこうなら、だいだいこういう形で展開すればよいと判断できる人(=経験値が高い人)は、ベースデザインに含まれていなかったモジュールが出てきたとしても、迷わずサクサクと作業を進めることができるだろう。
では、私のようにベースのデザインルールを踏襲してもその後の展開作業で迷う人(=経験値が低い人)はどうすれば良いか。その答えは「日々のwebサイトの観察」にあるという話を先輩デザイナーから教えてもらった。
ここでいう観察とは、サイトを見る時に色や使用フォント、マージンなど、表面的なものをただただ眺めることではない。表面的なデザインを見た上で、どういったケースでそのルールが適用されているのかということを自分なりに言語化することである。
例えば、テキストリンクのデザインを見るとする。ヘッダーやフッターなど明らかにナビゲーションであることが分かる場合は、黒文字でアイコンなし。コンテンツエリア内のテキストリンクには、必ず矢印を付けて青にする。文中リンクは、使用を避けて文章後に改めてテキストリンクを設置するといったルールが見えてくる。
このような観察力を身につけることで「このサイトのテキストリンクのルールは3つある。もし、似た印象のサイトを制作するのであれば、3つくらいのルールでデザインすることができるのでは?」ということが分かるようになる。
自分で見つけたルールは、教えてもらったルールよりも記憶に残りやすい。では、私のような経験が浅い人がこうした観察を習慣化しないとどうなるのか。
確かに表面的なデザインの技術はそれなりに身につくだろう。だが、デザイン展開をしていく際に自分の判断でルールを作り出せない、また、ルールを作ったとしても成立していないということがあるのではないだろうか。自分の中で収集した情報から学んだことを常に刷新して蓄積することを続けなければ、いつまで経っても迷い続けることになると思う。
だから、世のサイトを見る際に一段階掘り下げてどういうルールなのか自分で突き詰め考えること。そして言語化する習慣を身につけることが、デザイン展開で悩まないための1つのコツなのではないだろうか。