ユーザー視点のフィードバックに必要な4つのステップ

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コンサルタント 大舘 仁志

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言うまでもなく、ディレクターにとってフィードバックのスキルは重要である。私はベイジに中途入社したが、フィードバックにも徹底したこだわりを持つべきだと学んだ。では、どうすればユーザー視点のフィードバックができるのか、自分の考えを整理してみたい。

まずフィードバックという行為は、4つのステップに分けられる。

  1. 対象者との関係性をフラットにする
  2. 対象物への前提条件をフラットにする
  3. 対象物からノイズを探す、原因を考える
  4. 対象者へ伝える

1:対象者との関係性をフラットにする

仕事において立場の違いは必ず存在する。クライアントと受託業者という商流、社内における役職や年次、職種などだ。このような立場の違いをフラットに捉えなければならないが、この点をクリアできなければ、ユーザー視点のフィードバックは難しい。

しかし、一般的に経験が浅いうちは難しいのではないだろうか。なぜなら、この思考を身に付けられるかは所属組織の文化に大きく依存するからだ。幸い私は、前職の先輩がフラットに接してくれる方だったこと、新卒で入社した半年後にキャリアが上の外注先デザイナーのディレクションを経験したことなどから、自然に身に付けることができた。

ベイジにおいてはさらに、フラットでいることが推奨される。例えば、デザインに対して「なんとなくだけどダサい。」と思ったならば、論理的ではなくともデザイナーに伝えるべきと社内ではよく話に上る。

2:対象物への前提条件をフラットにする

webの受託業務において、新規でサイトを立ち上げるプロジェクトはもう多くはないだろう。ベイジのクライアントも、大半が既存サイトのリニューアルだ。ヒアリングから始まり、リニューアル前のサイトを調査する作業に多くの時間を費やす。しかし、リニューアル前のサイトに関する内容は、まっさらに忘れるべきである。なぜなら、レイアウトや動線、コピーなど、リニューアル前の情報が正しいとは限らないからだ。

もう一つ大切なのが、これまでの工程で確定した要素もフラットに捉えることだ。今日まで経験してきたプロジェクトの多くはウォーターフォール型であるため、クライアントと協議・合意したうえで進行してきた。普通に考えれば、確定した内容は変えるべきではないのが当たり前だろう。しかし、これも白紙にして考えた方が良い。

3:対象物からノイズを探す、原因を考える

実際に確認をしていくステップだ。まずは深く考えず感覚的に確認を進めていく。この時、資料や画面を見ながら自然に疑問を感じたポイントを敏感にキャッチしていくのが私なりのコツである。このステップは、徹底して感覚的・主観的に行うべきだと思っている。対象となる商材やサービスにもよるが、この方法で気が付いたポイントはユーザー視点であることが多い。ここで大切なのはとにかく量だ。気になった箇所はすべてピックアップをする。

ここからやっと思考を巡らせる。これまでにピックアップした点について、なぜノイズを感じたのか考えて、感覚的・主観的なポイント、ユーザー視点によるポイントを精査していく。この時に主観によるものなのか迷った場合は、評価の高いサイトやFacebookやLINE、Amazonなど利用者が大勢いるサービスと比較して検討することが有効だ。

4:対象者へ伝える

このステップでもまず重要なのは、対象者との関係をフラットにすることだ。個人的には、フィードバックをする側が強く意識しなければ、フラットな状態がすぐに傾いてしまうだろう。

そして、このステップで最も重要なのは、具体的なアイデアを出し過ぎないことだと思っている。デザイナーやエンジニアの思考を狭める恐れがあるからだ。議論のきっかけとなるアイデアは何かしら投げかけるべきであるが、その際も「~かも」「~では?」というような口調であえて曖昧な印象となるように心がけている。そうして、自分の想像を超えるものが上がってきたときが私にとって最高の瞬間の一つだ。

最後に

以上が現状のフィードバック方法だ。これが良い方法なのかは分からないが、上記4つのステップを経ることで、客観的でユーザー視点を持ったフィードバックができると考えている。デザインのクオリティを高く保つために、これからも最適な方法を模索していきたい。

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