デザイナーとして学んだ相手が理解しやすい説明とは

先日参加した打ち合わせで、クライアントに説明する機会があった。これまでもデザイナーとして何度か参加したことはあるが、議事録作成やサポートの仕事が多く、自分で相手に説明をする機会はなかった。

訪問前に上長と資料の読み合わせを行ったが、その際に「相手が理解しやすい説明になっていない」とフィードバックを受けた。ビジネスの場において相手が理解しやすい説明をするためには何を意識すればいいのか、そのフィードバック内容をもとに大きく3つ取り上げようと思う。

1. 前提条件をおろそかにしない

web制作はプロジェクトの規模にもよるが、数カ月間に複数回の打ち合わせが設定される。毎回同じ担当者の方が打ち合わせに参加されるとは限らない。また前回の打ち合わせから期間は空くこともあるので、どんなことを話したのか記憶から徐々に薄れていく可能性もある。

そんな中でいきなり「打ち合わせを始めます。まずはお手元の資料をご覧ください。1ページには~」と始めるのは親切ではない。まず、これから説明しようとしている資料はプロジェクト全体のどのフェーズにあたるのか、どういった目的で作成しているのか、確認して欲しいポイントは何かを明確に伝える必要がある。

さらに、その資料はどういった情報で構成されているか全体説明があるといい。例えば、その日の打ち合わせはベイジ制作ワークフローの設計フェーズだった。冒頭に「これからご説明する資料は大きく分けて、ユーザーの動線とワイヤーフレームの2部構成になっています」と一言添えるだけで、今から聞く内容は2つの話で構成されていると理解できるだろう。

そして、その2つがどういったものなのか事前説明も必要だ。動線については、「今まで戦略フェーズでサイト全体におけるユーザーの体験を定義してきましたが、この資料ではページ単位で細かくユーザーの体験を定義していきます」となり、ワイヤーフレームであれば、「各ページのユーザーの動線を踏まえて情報の配置や順序を決めたものになります」という内容になる。

前提条件を丁寧に説明することにより、相手との認識のズレが生じる可能性は低くなり、その後の説明に対する理解度が大きく変わってくる。打ち合わせに限ったことではないが、前提条件を省略しないように徹底することで、相手が理解しやすい話し方になるのではないだろうか。

2. 文章をそのまま読み上げない

資料に書かれた文章をそのまま読み上げることは誰でもできる。しかし、打ち合わせ時間は限られているので、いかに必要なポイントをかいつまんで時間内に説明できるかがポイントとなる。資料をより分かりやすくするため、なぜそう考えたのかというデザイナーとしての思考の背景すべてを書かないことも多いが、そのあたりを口頭で補足すると、より分かりやすい説明になるのではないか。

例えば、トップページのワイヤーフレームに対して、どんなユーザーが想定されるかシナリオを用意していた。しかし、いきなりシナリオの説明をしても“なぜシナリオが必要なのか”を説明しないと理解することができない。

このような場合には、「戦略フェーズで検討したユーザーの動線を踏まえてホーム画面における主要なシナリオを用意しました。これは、後ほど解説するワイヤーフレームで、このシナリオの条件を満たしているかどうかという観点で見ていただければと思います」と資料には書かれていないシナリオの意図を口頭で述べた方がいい。

そうすることで、このシナリオをもとに話を聞いていけばいいのかと理解しやすくなり、逆に私たちに対する指摘ポイントとしての軸ともなるだろう。重要なのは、このページで伝えたい結論や意図、背景など、資料には書かれていない内容を口頭できちんと説明することだろう。

3. 専門用語を使わない

web制作会社で働いていると、ワイヤーフレームやCTAといった言葉は日常的に聞いている単語であるが、一般的な言葉ではなく、必ずしも相手が知っているとは限らない。

先日の画面設計の打ち合わせでは、冒頭で「デザインをいきなり作成して認識のズレが起きないように、ワイヤーフレームを作成して認識を合わせたいと思います」という説明をしたが、この場合ワイヤーフレームという言葉を相手は知らない可能性がある。

とはいえ、専門用語を一切使わずに説明をすることも難しいので、そういった場合には専門用語を使う前に別の言葉で示すといい。

例えば、「サイトの設計図となり、一般的にはワイヤーフレームと呼ばれるものを使用して認識を合わせたいと思います」という説明であれば、ワイヤーフレームはサイトの設計図という位置づけなのかという共通言語ができ、理解がしやすいのではないか。

私も新卒でデザイナーになってから、業界で使用されている専門用語になじみがなかったので、迷いながらもその都度調べ、何度か聞くことで理解してきた経験がある。しかし、打ち合わせの場では、相手がその場で用語を調べるようなことはないので専門用語はなるべく避けて、もし使うのであれば先に別の言葉で言い換えが必要だと感じた。

もちろん、説得力を持たせるための説明において注意すべき点はこれ以外にも多くあるが、ビジネスの基本的なスキルとして、上記の3点は徹底して打ち合わせに臨むようにしていきたい。