コンサルタントから盗んだデザイン提案術

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デザイナー 池田 彩華

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ベイジのデザイナーは、お客さまに直接提案する機会がある。これまでもプレゼンテーションや提案に関する記事を書いてきた。

ビジネスの場において、相手が理解しやすい説明はだいぶできるようになった。次ステップとして「もっとこうしたらよくなる」と提案が上手なコンサルタントからコツを教えてもらったので、ご紹介しようと思う。

オープン・クローズドクエスチョンの使い分け

ディスカッション形式の打ち合わせの日があった。今回はこうした方がいいのでは、と仮説をもっていき、お客さまに「どう思いますか?」と問うスタイルで進めた。

ぱっとすぐ回答が出ることもあれば、無言の時間が続くこともあった。お客さまが、答えにくい・どう回答していいか迷われるときに、コンサルタントは「あえてケチをつけるなら、どういうところにありますか?」など、問いを使い分けていた。

打ち合わせ後に聞いたら、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けをしていたそうだ。

相手に自由に答えてほしい場合は、オープンクエスチョンといって「どう思いますか?」と抽象度が高い質問でもいい。しかし状況によっては、条件をつけると回答や案がでやすくなる場合もある。

具体的な選択肢を2つ見せて、クローズドクエスチョンとも呼ばれる「AとBだとどちらが〜」という聞き方もあれば、一定の条件をつけて自由に答えてもらうなど、意図的に質問をコントールできるだ。

オープンクエスチョンで反応がよくないときは、引き出し方が悪いこともある。条件付きでのオープンクエスチョンやクローズドクエスチョンに切り替えるようにしたい。

提案は「一球勝負」でなくてもいい

ビジュアルフェーズは、絶対的な答えがない領域でもある。論理的にある程度までは導くことができるが、主観が入りやすいフェーズだ。

そのため、お客様とディスカッションをして合意形成をしていく。提案の難易度もあがるが、提案した内容が一発で合っていることが重要なのではなく、共通認識を持つことがゴールとなる。

デザイナーになりたての頃は、相手の意見を攻撃と捉えてしまい、うまく対応できないこともあった。しかし私たちのお客さまは、建設的な方ばかりだ。意見を発散し、相談した上で決めたい思いがあるだろう。

打ち合わせでは「これってこういうこと?こっちの方がいいのでは?」と対話して相談することになる。客観的に見れば、提案は一球勝負ではないような気がする。

一発でハマる提案もあれば、ボールを投げたところが少し違い、議論でカバーして対話して、落とし所を決めていく。そんな自分の意見を言う時に、コンサルタントのクッション言葉が参考になった。例えば、

  • 個人的な考えなので、◯◯さんの考えはまた伺えればと思うのですが
  • 認識が違ったら指摘してほしいのですが
  • 言葉が適切ではない/短絡的な言い方になっていたら恐縮ですが

「提案→確認→提案」といったプロセスではなく、自分の意見を当てると一緒に作る「共創のスタイル」になる。だからこそ、お客さまとお互いにきちんと理解を深めて合意すること、それが結果的によい方向へ議論が進む、と学びがあった。

考え抜いた案を「正解」にすることも大事

打ち合わせでは、お客さまからいろんな意見がでる。その意見をどう収束させるかが、私たちの腕の見せ所だ。

先日ディスカッションをした結果、「ベイジさんの最初の案に納得ですね」と最初の案に戻ることがあった。

無理にベイジ側の提案を通すことは違う。一方、顧客と対話をする中で 総合的にポジティブとネガティブを整理し、結果的にそのまま通ることもある、という気づきがあった。

考え抜いたアイディアを「正解」に持っていくことにチャレンジすること。そのためには、相手が納得するようロジック、議論が必要だ。瞬時にできなければ、事前にロジックを整理しておくことはできるだろう。

お客さまの意見も尊重しつつも、すべての意見をそのまま受け取り、「修正しましょう」といったコミュニケーションをすると受け身にもなってしまう。私たちが考え抜いたものを対話して提案を通すことも大事だと学んだ。

さいごに

ベイジでは打ち合わせ後に、関係者が集まり相互にフィードバックをする機会が増えた。よかった点や改善できる点をフラットにコメントがもらえる。

自分1人では気が付かない学びがたくさんあり、私にとっては、すごく有益な時間だ。教えてもらったナレッジを、今後の仕事に活用していきたい。

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