ウェブサイトのビジュアルデザイン提案は、多くの要素が絡み合うケースが多い。情報設計フェーズでは、ワイヤーフレームで掲載する内容や大まかな情報の配置箇所を決めるものの、実際のビジュアルデザインに落とし込んでみると、違和感に気づき、改めてお客様と議論したりすることがある。
これまでのミーティングを振り返ると、議論のポイントとしてビジュアル、仕様、情報設計の3つの観点での内容が多かったように思う。ただ単純に「見づらい」や「見た目にインパクトが欲しい」という内容に収まることは少ない。
社内の他のデザイナーや他職種のメンバーが、お客様とのミーティングで心がけていることを聞く機会があり、その内容をまとめてみた。
以下の内容はあくまで一例であり、比較的実践しやすい内容だと考える。
意図や目的を確認。提案や意見は先に述べず、ぐっと堪える。
例:
迷っているポイントや議論ポイントを確認し、整理する。
「出た意見の中で不要な選択肢を削除」または「デザイナーとして○○が適していると結論を述べる」。
理由を述べて、そのまま進めてよろしいか確認を取る。
ミーティング中での発言で、分からない点や把握していない情報があることがある。リソースの兼ね合いで途中からプロジェクトに参加したり、複雑な大規模なサイトの案件では、事前にすべての事象を完璧に把握することが難しいケースがある。不安に思う場合、「こんなことを聞いてもよろしいかな?」と考える際に、枕詞を使うことで、質問しやすくなる。以下に使えそうな枕詞の例を記載する。
自分一人では判断すべきでないものや把握していないことが論点に上がる場合、ディレクターやコンサルタントなどの同席しているメンバーに意見を仰ぐことが望ましい。例えばサイトストラクチャに影響を及ぼすものや、仕様変更になる可能性がある要望などが挙げられる。
デザイン以外のことで他メンバーの方が詳しい場合、素直にそのメンバーに答えてもらう方が、スムーズに議論が進行すると思う。分からないことを自分で勝手に回答しようとせず、避けるべきだ。
例えば、ビジュアルに関するフィードバックで「下層ページの文字量が多くて読みにくい印象なので、絵的な要素を入れたり、全体的にメリハリを付けてほしい」という意見が出たとする。このようなケースでは、言葉でのやりとりよりも、その場で意見をfigmaのデザインデータに反映させ、確認を取ることが実際のイメージを伝えるのに有効だ。
上記の例であれば、「h1タイトルのエリアはグラフィカルにする」「背景色をつけてメリハリをつける」「アイコンやアイキャッチを追加する」といった折衷案を、操作画面を画面共有しながら試して提案することができるだろう。
上記にまとめたアプローチは、あくまで表面的なテクニックに見えるかもしれない。しかしその本質は、相手に「私たちのことをきちんと考えてくれる」と印象づけ、いかにお客様の信頼を築くかという点にあると考える。
毎回完璧な回答をすることや一発で正解を導き出すことは、実際には困難な側面がある。だからこそ、前述のアプローチを忠実に実践していくことが重要だと感じる。