ライターチームのメンバーとのミーティングで「対談やグループインタビューなど、複数の参加者がいる取材で意識していること」という話題が出た。私もこれまで企業の社員座談会などで、2人以上を一斉に取材した経験がある。その時にどんなことを気にしていたのか、逆に「こうすればよかった」と感じたことを振り返ってみた。
座談会やグループインタビューの場において、参加者全員が活発に発言してくれたらいいのだが、人によってどうしても発言量に差が出てくる。参加したのにほとんど発言しなかったという人を出さないためにも、全員順番に答えてもらう質問をいくつか用意する。
2、3人ならまだしも、4人以上だと後で聞き直した時に、誰の発言かわからなくなることも多い。文字起こしの際に声の主を聞き分けられるように、最初に全員、短めの自己紹介をお願いする。
取材はほとんどの参加者が緊張している。初対面でも話しやすい雰囲気にするために、話をふる時は冒頭に「〇〇さん」と名前を呼ぶ。デール・カーネギーも人間関係の原則を書いたベストセラー『人を動かす 完全版』の中で「相手の名前を覚えてさりげなく呼ぶということは、非常に効果的な賛辞を述べたことになります」(出典:『人を動かす』、著者:デール・カーネギー、翻訳:東条健一、出版社:新潮社、発行年月日:2016年11月25日)と語っているので、効果的な方法だろう。また文字起こしの際に、誰の発言かわかりやすくなる。
複数人のインタビューだと積極的に話せない人もいる。「この人はあまり話をしていないな」と感じた人には、なるべく「〇〇さんはこれについてどう思いますか?」とこちらから発言の機会を作る。
話題が豊富だったり、明晰な話をしてくれる人に対して質問が集中してしまうことがある。そうすると他の参加者が手持ち無沙汰になってしまう。内容を深堀することは大事だが、続けて質問するのは2回までと制限をかけるなどして、参加者に疎外感を持たせないようにする。
座談会やグループインタビューの醍醐味は参加者同志で盛り上がり、その場だからこその話が聞けることだろう。そうなるためには途中まではライター中心で話を進めつつ、場が温まってきたら会話の主導権をいったん参加者に渡す。ただし話題がインタビューの趣旨とずれていくこともあるので、適宜修正を入れたり、長くなりそうなら途中で話を切り上げるなどする。
発言量に大きな差を出さないように気をつけつつも、話のまとめや重大な質問に答えてもらう時は、リーダー的存在の人や、適切な回答をしてくれそうな人に話をふる。特に原稿にまとめる時は、こういった人たちの発言がタイトルや小見出しになることが多い。
原稿の目的によっては必要のない項目もあると思いつつ、ざっと思い返すと以上のようなことが挙げられる。
他にグループ取材ではこういったことに注意するといい、というポイントがあったら、ぜひ教えてもらいたい。ライターとしては、今後も参加者がリラックスして話ができる場をどうやって作るかを、模索していこうと思う。
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