今日も会議がある。憂鬱だ..。一日のスケジュールに会議の予定を見つけて、そんな気持ちになる人は多いだろう。会議は仕事を進めるための手段だが、時間を奪われる、目的があいまい、空気が悪いなど、課題は尽きない。
しかし会議の名前を工夫すると、そんな悩みが少し緩和されるかもしれない。サイボウズさんのインタビューによると、あるイベントの進捗管理会議に「おしりぺんぺんタイム」とユニークな名前をつけたところ、会話のきっかけが増え、打ち合わせを楽しむ空気が生まれたそうだ。
認知科学の分野では名前が人の認知や行動に与える影響が研究されており、「表記法の違いが異なる思考プロセスを生み出す」という結果が出たものもあるという。実際にベイジ社内でも、工夫をこらした名前がついている会議では、参加者の意識や行動に違いが生まれているように見える。以下に思い当たる例を3つ挙げてみる。
あるプロジェクトで納期直前の進捗確認MTGに「根性注入会」という名前がつけられた。名付け親のコンサルタント曰く「納品前のタスクとメンバーの気合・根性・友情を再確認する会」という意味らしい。プロジェクトが大詰めの時期は作業も多く緊張感が漂うものだが、この会議名を見るとなぜか気持ちが和んだ。「根性注入」は共通言語としてすっかり定着し、Slackでも「根性注入です!!!!!!!」とリマインドが飛ぶほどになった。おかげでメンバー間に絆のようなものが芽生えた気もしている。
昨年ベイジでは、さかいふうたさんのマネジメント研修を受けた。大いに刺激を受け、研修直後から1on1改善やフィードバック見直しなど活発な動きが起きている。しかし組織改善系の試みはマネジメント層だけが頑張るだけでは、カルチャーとして定着させるのが難しい。そこで研修の学びを全社に展開するための作戦会議として発足したのが「ふうた(敬称略)を風化させない会」だ。名前を見れば目的は明らか。「これって何のためにやってるんだっけ?」という、よくある会議形骸化の防止に一役買っている。
これは会議名ではなく、気になることを共有するときに使うハッシュタグのようなものだ。ライターチームのマネージャー2名は、どちらも地方在住でフルリモートワーク。チャットでのこまめな情報交換がチームマネジメントの要となる。小さな気づきでも事前に共有していれば、潜在的なリスクに早めに気づき対策を打つことができるからだ。このハッシュタグの存在が「こんなことわざわざ伝えなくてもいいかな…」という心理的なハードルを下げてくれるので、遠隔でも情報の交通量を減らさずにいられる。
「名は体を表す」という慣用句は「名はそのものの実体を表している」という意味だ。先に会議の名前を変えることで、参加者のモチベーションや行動などの、実体が変化することもあるのかもしれない。業務が忙しくても遊び心を忘れずに、会議の名付けにこだわる余裕を持っておきたい。