プロジェクトマネージャー(PM)として新しい仕事にあたるとき、得体の知れない不安を感じることはないだろうか。TODOリストを見ながら進めていても、プロジェクト進行表通りに動けていても、なんとなく落ち着かない気持ちになる方は多いはずだ。
ちゃんと進んでいるはずなのに、なぜ心配なのか。考えてみると「失敗の具体的なイメージが持てていない」ことが、不安の原因の一つとしてよくあるパターンなのではないかと思う。特に、経験の浅いうちはこの傾向が強いのではないだろうか。
やらないといけないことがわかっていても、その先にどんなイレギュラーが起きるのかまでは見えない。見えていない分だけ、想定外の展開に何度も出くわすことになる。想定していない展開には、事前に手を打っておくことができない。
結果として、イレギュラーが起きたら一度つまずき、振り返って改善していく、というサイクルになりやすい。
こうした傾向は、PMの仕事に特に強く出るのではないだろうか。
プロジェクト定義書を作るときも、スケジュールを組むときも、これまでの先輩たちが積み重ねてきた経験をもとに作られた「デフォルト」がすでに用意されている。ただ、そのデフォルトは、どの案件にも当てはまるわけではない。
失敗のイメージが持てないと、デフォルトをただなぞって進めるだけになりがちだ。デフォルトがなぜその形になっているのか、意図や背景まで理解していないと、自分でアレンジすべき部分の見極めもつかない。
結果として、顧客特性を考慮しきれずに認識齟齬が生まれたり、対策を打たないまま案件が進んでから「あのとき、こうしておけばよかった」が出てきたりする。
実際、こういう場面は多いのではないだろうか。序盤は顧客特性や案件状況に対して何が失敗要因になるのか見極められず、デフォルトからのアレンジがうまくいかない。ただ、顧客とのやり取りや進行の中でのつまずきをもとに改善を重ねるうちに、次第に落ち着いて対応できるようになっていく。
だとしたら、経験を重ねて自分で失敗するのを待つ必要はない。先輩に、過去の失敗談を聞きに行けばいい。
実際、私はある先輩にキックオフでの失敗談を聞かせてもらったことがある。おかげで、キックオフで押さえておくべきこと、事前にできる対策、アレンジのパターンといった「引き出し」を増やすことができた。
PMの仕事の進め方は、個人の裁量に委ねられている部分が大きい。人によってやり方も違う。だからこそ、それぞれが経験してきた失敗とその対処法を共有し合うことで、組織全体の「引き出しの総量」を増やしていけたらいいのではないかと思う。
一人で経験を重ねなくても、対処の引き出しは増やせる。まずは、近くの先輩に「失敗談、聞かせてもらえませんか」と声をかけてみてほしい。それだけで、先輩の失敗談が、自分の経験の一部になる。