ベイジではデザイン提案の際には、デザイナーが直接お客様の前でデザインの意図や改善ポイントなどを説明する。そのため裏方になりがちなデザイナーでも説明する機会は意外と多い。
これは完全に私の偏見なのだが、デザイナーで「話すのが得意!プレゼンや提案はまかせろ!」という方はあまり多くないのではないだろうか?もちろん私もその一人で、人前で話すことには緊張するし、どう伝えればわかりやすく伝わるのか、ここ数年ずっと悩み続けていた。
話の上手な方の説明の仕方を参考にしたり、MTGの後にチームのメンバーからもらったフィードバックを参考に、話し方や説明の順番を改善したり、など試行錯誤を続けていくことで、100点とまではいかないが、平均して80点程度はわかりやすく話せるようになってきたのではないかと思う。
私が説明の際に気を付けているポイントは以下の4つだ。
自分が理解しているからといって、説明の際に前提の説明を省いてしまうことがあった。しかし、それでは聞いている人は何の話をしているのかわからず、理解が困難になる。そのため、問題が生じた経緯や改善の理由など、前提の情報をしっかりと振り返ってから本題の説明に入った方が、相手が理解しやすいと感じている。
話を結論から話すという定説もあるが、個人的には「前提の説明→結論→本題の説明」の流れが、一番わかりやすいと思っている。
これは「一つ目の前提の説明を省かない」とは逆のポイントだが、提案の中では説明しなくてはという思いが強すぎるあまり、画面を見ればわかることまで長々と説明してしまうことがあった。
もちろん、補足情報を加えて説明しているため無駄な情報ではないが、時間の制限のあるMTGでは、わかりやすい説明のためには簡潔さが重要だ。
見れば理解できるポイントの説明は省くべきであり、情報を増やすばかりでなく、理解してほしい部分の説明を妨げる可能性も高い。わかりやすい説明には、できるだけ要点をまとめることも重要なポイントだ。
お客様にデザインを納得いただくために、若干言い過ぎな表現を使ってしまうことがないだろうか?
セオリーで強引に押し通したり、少し強引な理由づけをしてみたりといった方法は、全てが悪いわけではないが、無理矢理な理由づけに過ぎず、プロジェクトの後半になって、「やっぱり納得できていないから変更したい」といった後々の追加対応を引き起こす原因にもなる。
そのため、なるべく避けるべきなのだが、実際には結構無自覚に行ってしまうこともあり、話の流れで強引な理由づけをしてしまうことも多々ある。MTG後のフィードバックで「あの説明は少し無理があったよね」と指摘されることもある。
この問題の改善方法としては、できる限りデザインの全てのポイントで「なぜ?」に答えられる準備をあらかじめしておくことが重要だと感じている。
その場で急遽説明を考えたときに、無理やりな説明になりやすいのは仕方がない、なのでそれを防ぐために、設計・デザイン作業の時にあらかじめ理論を考え他の人にも説明できるようにまとめておくことが、無理な理論を使わないための鍵になると考えている。
緊張すると早口になる人は多いのではないだろうか?私もその一人で、元々話すのが早い傾向があるうえに、MTGでは考えながら話す必要があるため、どうしても徐々にスピードが上がってしまうという悩みがずっとあった。
台本を読んでいる場合ならまだしも、MTGの場では考えながら話す必要があり、徐々にスピードが上がってしまうのは避けられない。しかし、内容が伴わない説明では意味がないため、話し方ばかりに気を取られるわけにはいかない。
悩み抜いた結果、私は早口をゆっくりにすることは諦め、「ゆっくり」ではなく「分かりやすい」を意識することにした。
きちんと筋立てを考え、抑揚をはっきりさせ、自信を持って話すようにすることで、十分にわかりやすい説明になると考えている。ベースのスピードが多少速くても、意図が分かりやすく伝われば問題はない。私が早口な点に気を付けるべきポイントは、「ゆっくり」ではなく「分かりやすい」を意識することだと思っている。
以上が私がわかりやすい説明をするために取り組んでいる4つのポイントだ。
以前よりは話せるようになったと感じながらも、わかりやすい説明のためには、まだまだ更なる試行錯誤が必要だ。デザイナーにとって、デザイン技術の向上だけでなく、MTGでの説得力も重要なスキルだと思うため、引き続き、両方をおろそかにせず向上に努めていきたい。