仕事で失敗した話

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代表取締役 枌谷 力

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Webデザイナーになって4年目くらいのとき、提案書を書く機会があった。

当時はデザインよりディレクション系の業務が多く、提案書を書いてコンペで勝った実績も出てきて、新規案件の提案を任されることが増えていた頃である。

その頃の僕は、Webサイトの経済的なパフォーマンスを算出し、Webサイトに投資すべき予算を決め、そこから必要なコンテンツを導き出し、設計、デザインをプランニングする、ということをとにかくしたかった。

頭の中ではそういう提案の道筋はできてて、それをどこかで試したくてしかたがなかった。 そして、その時任された提案に、そのアイデアを盛り込んだ。

クライアントの依頼は、集客に繋がる新しいコンテンツの提案だった。しかし、成功に向けての悲観的/楽観的シナリオ、そのための集客プラン、予想される売上/利益からROIを導き出し、そこから予算を配分し、といったまさに当時の自分が理想としていた提案書を作った。

プレゼンテーション時の反応はとても良く、お客さんは「いやーすごく勉強になります」としきりにおっしゃられていたのが印象的だった。

しかし、会社に戻ると、その提案書を見た社長にこっぴどく怒られた。コンテンツの提案を求める顧客に対して、無駄なことばかり書いて、本質の提案は薄い、こんなもの通るわけがない、とボロボロに言われた。

お客さんの反応が良かっただけに、なんでそんなことを言われなきゃいけないのか、とその時は頭に来たのだが、結局その社長の言うとおり、その案件は失注してしまった。

結局は、こういうことだ。

  • 相手が感じてる課題の直接的な解決策を示さず、崇高な正論を述べても人の心は動かない。
  • 自分のしたいことより、相手のニーズにマッチングさせることがまずは重要。

ごくごく当たり前のことだが、自分が強烈にしたいことがあると、冷静に足元を見ることができなくなってしまうものである。

さて、こんな話をすると、先走って失敗するのは良くない、何事も慎重にやらないと、と身を固くしてしまうかもしれない。

しかし、確かにこの時は大失敗だったが、独立してから、ある新規サービスのビジネスモデルを立案する際に、その時に挑戦したやり方が大いに役立った。

つまり、短期的に見ると大失敗でも、いつか別の形で日の目を見ることがある、ということでもある。

短期的な視点では、本質を掴み損ねるような失敗はしてはいけない。しかし、長期的な視点に立つと、前のめり気味に新しい挑戦をした方がいいかもしれない。

この二つは、実のところ矛盾している。どちらかに偏ると、どちらかのリスクを背負うことになる。しかし、そういった矛盾を矛盾のまま捉えながら、その時々でバランスを考え、仕事に向き合うのが大事なのだと思う。

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