ウェブサイトのビジュアルデザインを制作していて、かけた時間とアウトプットの質は比例しないと思うことがあった。
例えば、トップページのデザイン制作で「5日」とあれば、5日かけた方が、お客さんが満足できるようなクオリティになると思い込んでまるまる5日使ってしまう。
心のどこかで、「お金をもらっているから、手間をかけて対応しないといけない」 「時間をかければクオリティがあがる」と思っていた。
一方でかけた時間が多ければ多いほどクオリティが高まるのか?といえばそうでもない。
知識労働のビジネスなので、時間分働いたから仕事が必ず前に進むタイプでもない。だからこそ、それぞれの仕事に設定されている期間(工数)を意識し、ベストな方法を考える必要があると思う。
では、限られた時間の中で効率的に進める方法はあるのだろうか?
大事なのは、時短にするからクオリティ落としてよし、クオリティにこだわるなということではない。クオリティは今まで通りにこだわるが、もっと効率よくこだわる方法はないかということ。
仕事を通じていくつか対処法があると感じたので、ご紹介します。
ベイジでは、ウェブサイトのビジュアルデザインを作る前に戦略工程がある。そこでは、
を整理している。この考え方は、ビジュアルを作るときも大事だ。
たとえば、トップページのメインビジュアルのデザインを検討するとき、ユーザーがウェブサイトに訪問したら、最初に自分たちをどう認識してもらうか、何を言えば強みが伝わるかを考える。
社内のコンサルタントからは「ユーザーに伝えたいことを明確にし、どんな情報だと伝わるか、どう表現すると提供する価値を感じてもらうことができるのかなど、伝えたいことから逆算してビジュアルを考える必要がある」と教えてもらったこともある。
私自身これまでの経験上、伝えたいことが曖昧なまま手を動かしても、いつまで経ってもピンとくるものが作れない。作ったとしても、ズレているということになりがちだ。
作りながら解決の糸口が見えることもあるので、必ずこの方法がいいわけではないが、手を動かす前にこれらを整理することで、より伝わる表現になると思う。何かに行き詰まったときでも、手を動かすことをやめて、一度思考の整理する時間を取ることはおすすめだ。
アイディアから形にする過程で、思い通りにいかないこともある。アイディア自体はいいけど、形にするとなんか違う。これがデザインの仕事の面白いところでもある。
ある程度形にしてからお客さんにも提案するが、「仮説が違う、アウトプットと乖離がある」となった場合、その制作物は没案となる。
効率よくこだわる方法は、さっと作って見せてフィードバックもらい、没案にかける時間を減らすという進め方だ。
例えば「5日」という目標があった場合に、5日かけて没案作る、結果10日かかる、みたいなことをしがちなのを、3日で初案作り、2日で調整し、結果5日で収まる、クオリティも担保されてる、みたいなのが理想的なあり方なのでは、と思う。
お客さんにどのタイミングでどのくらいの完成度で見せるは、案件次第なので一括りには言えないが、最短ゴールに辿りつく方法、時間のかけ方、顧客の特性、満足度を考慮した進め方は柔軟に変えていきたい。
とある企業のウェブサイトのメインビジュアルデザインを考えるとき、ライターさんと30分打ち合わせをして、一気に内容が詰まることがあった。
デザイナーである私はぼんやりとした形があって、そこをうまくライターさんが言葉を整理して、キャッチコピーも出てきた。
その後、同じプロジェクトのマーケターやディレクターなども集まって、ビジュアルのディスカッションをして、方向性がさらに決まった。
ベイジが作っているのは、ユーザーとのコミュニケーション。これはどんな職種でも、ユーザーを理解して、何を伝えるか、どう伝えるか、を考えているから、他の職種からアイディアやコメントが出てくるのだと感じる。
私は、打ち合わせの時間が多くなりすぎると、相手の時間を拘束することに抵抗を感じることがあった。しかし、これらの経験からその考えは短絡的で、スムーズに提案したデザインが採用されるなら、プロジェクト全体でみると効率的だ。
個人で仕事をしているのではなく、チームで仕事をしているな、と実感した出来事だった。1人で抱え込みすぎず、他職種とのコラボレーションすることも、効率よくこだわる方法の1つではないだろうか。
入社当初は、いわゆるビジュアルデザインのアウトプットの質を高めることに集中していた。
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入社2年目で身につけたwebデザインの5つの習慣
ここ数年の関心があるテーマは、ウェブ戦略との結びつきを考えることにシフトしてきたように感じる。マーケターやライターなど社員が増えたことでコラボレーションできる相手が広がったことも多いに影響を受けている。
自身の考え方や周りの環境は変わっていくので、これまでの知識ややり方の使い回しをよしとせず、新しい方法を試して、チームや組織に還元していきたい。