デザイナーが企業に提供する価値とは何か?

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デザイナー 池田 彩華

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クラスメソッドの新しいコーポレートサイトが先日公開された。

2000ページ越えの大規模サイトで、コーポレートサイトからは独立したAWS事業部のサイトも同時公開された。短期間でこの規模のリニューアルを実現するために、多くの方々に助けていただいたことに感謝している。

もともと、大型イベントに合わせたリリース最優先のプロジェクトだった。代表の横田さんからは、細かい部分は後回しにし、ビジネスの最大化を狙う。細かい修正はリリース後でもいい、との共有があった。プロジェクトの目的は、問合せの最大化であり、完璧なページを作ることではない、と強調された。

これから関わる別案件でも、同じようにマーケティングKPIの向上とスピード優先の方針が先日共有された。ビジュアルドリブンなサイト制作ではなく、市場ニーズに合わせた成果に繋がるスピード感が求められている。

クラスメソッドの新サイトは期日までのリリース優先で進行したため、要望対応の積み残し、追加機能の実装などが、まだ沢山ある。しかし公開されたものに対して、「思ったより粗が気にならず、これでもいいのでは」という意見をいう人もいた。

デザイナーとしては調整したい箇所が多いものの、デザイナーとしてのあるべき論ではなく、ビジネスの観点からの実施する・しないを冷静に判断すべきだと感じている。

例えばあるページのレイアウトについて、デザイナーとしては見出しと画像の順序を変更したいと考えていた。その方が美的にスッキリするからだ。

しかし、経営者の視点からは、工数をかけてほどやるべきことではないと感じるかもしれない。デザイナーが作るビジュアルデザインが常に正しいとは限らず、デザイナーが作るデザインデータを一方的に正とすることに、合理的な理由が見つけられないこともある。

そんな時は、プロジェクトで求められることは何かを見つめ直し、そのゴールと限られた時間を考慮して、優先度をつけるべきだ。

繰り返しになるが、このプロジェクトでは、問合せの最大化が目的であり、完璧なページを作ることではない。クライアントも、事業の成功に繋がらないことに予算を使い切ることを求めていない。

よかれと思ってデザイナーがこだわる細かな対応(事業に繋がらない箇所)に時間を使い、結果予算を使い切ってしまうのは本末転倒だ。それによって追加費用を要求することになっても、経営者は納得できないだろう。

プロジェクトを通じ、デザイナーだけでなく経営者の視点も考慮し、プロジェクトの目的や市場のニーズに対応するスピード感を大切にすることが重要だと学んだ。納期が短く、やること・やらないことを明確に判断しなければいけない状況になったことで、以前よりも強く意識できるようになった。

今後のデザイン活動においても、このプロジェクトの経験を活かし、効果的な成果と顧客の成功を生み出すことを目指していきたい。デザイナー個人としての成長を目指すだけでなく、チームとして価値を提供できるよう、努力していきたい。

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