最近、プロジェクト参画する際にUXリサーチの領域を担当することも増えてきた。そこで、知識のアップデートをかねてユーザーインタビューがテーマのオフライン講座に参加した。
今回参加したのはこちらの講座。ANKR DESIGNさんは毎月セミナーを開催していて気になっていたので参加してみた。
プロダクト・サービス開発のためのインタビュー基礎講座
講座は、「インタビューとは何か?」から始まった。
知ってる内容を改めて復習する形が多かったが、顧客理解と課題把握の視点から新たな知見を得ることができた。
まず、顧客理解には以下3つの観点が重要だと教わった。
これらの観点は、わたしが普段担当しているtoBのプロダクトではあまり意識していなかったものだった。
しかし、インタビューの大きな目的は「人々を理解し、インスピレーションを得ること」であり、それには顧客を取り巻く環境も含めて理解が必要と感じた。
次に、課題やニーズ把握には以下の3つの観点が重要だと学んだ。
特に、「課題やニーズの大きさ」はあまり重視してこなかった観点であった。
例えば、「代替手段によってある程度満足できている」ケースがあることはあまり考えてこなかったので、新たな発見だった。そして、これはプロジェクトにおいて、機能改修の優先度を考える際に重要な観点かもしれないと気づきを得た。
次回インタビューを担当する際には、これらのことを意識していきたい。
インタビュー設計において大切なことは、インタビューの目的を明確にすること。インタビューは多種多様な情報を集められる手段だからこそ、目的が曖昧だと、適切なインタビュー項目や手法を選びづらくなる。
以下のような観点の目的を明確にすべきだと教わった。
目的1については、顧客から課題感を共有されることは珍しくない。しかし、それを鵜呑みにするのではなく、以下の観点でインタビューを進めると、より有益な結果が得られるだろう。
目的2に関しては、リアルプロダクトや新規サービスなどに活用できそうだ。
講義中には「デジカメ」が例にあげられていた。バッテリーの持ちと撮影枚数、バッテリーの馬力とカメラサイズを天秤にかける、みたいなケースが過去にあったそうだ。
ベイジのプロジェクトで考えると「普段の業務で、力業で何とかしていることを新機能でカバーする」といったケースに使えそうである。
目的3はプロトタイプをユーザーにぶつけてみるときに使う観点だ。「顧客に気に入ってもらえた点はどこか?」という点ではあまり質問してこなかったので、機会があったら聞いてみたい。
インタビュー手法には「質的(=定性)」「量的(=定量)」の2つがあり、目的や状況に応じて使い分けることが求められる。
ベイジで担当するプロジェクトはtoB領域が多く、業務で使うアプリケーションという特性上、定性調査を採用することが多い。
しかし、ある案件では定量調査も取り入れてみたことで、新たな課題感を引き出すことができることを経験した。そのため、マネタイズなどを求められるSaaSなどのプロジェクトでは、必要に応じて定量調査を活用するのも有効そうだ。
今回の講義では新たな選定ポイントを学んだ。
今までの案件では、インタビュー対象者の選定は、その人の「属性」に着目して選定を行っていた。しかし、今回新たに教わった観点だと、「エクストリームユーザー」に対して、インタビューをしてみるのもよさそうと思った。
「エクストリームユーザー」とは、そのサービスを使いこしている人を指す言葉だが、そのユーザーからのフィードバックは、一般的なユーザー(マジョリティユーザー)にとっても便利な機能を生み出すことがある、という点は新たな発見だった。
ただし、エクストリームユーザーの要望のすべてがマジョリティユーザーにとっても便利、マストな機能とは限らないため、注意が必要ではある。
最後、講義の中でインタビュー対象者の探し方として新たに知ったサービスを紹介しておく。
特にトリマインは、自分がインタビュー対象者として登録もできるので、他社のインタビュー(UXリサーチャー?)を観察して勉強するのにも役立ちそうだ。もちろん、自分がインタビューの練習をするのにも今後お世話になりたいと思う。
最後に、インタビューを実施する際のテクニックや姿勢について教わった。
まず、インタビュー実施のテクニックとして教わったのは以下3点。
具体的なストーリーを引き出すというテクニックは、周囲の環境を含めて相手の事情を深く理解するために使えそうな問いだ。
また、インタビューの姿勢については以下の3点が大事。
人間は適当な生き物であり、言動が一致しないことがしばしばある。しかし、その矛盾こそが新たな発見の機会であると考え、矛盾した背景を深堀りすることが大切だと教わった。
また、インタビューが終わった後に重要な情報が出ることもあるため、最後まで聞き逃さないように!と教わった。
講師の木浦さんのお茶目でわかりやすい講義内容に加え、実践ワークが随所にちりばめられていて、最後まで集中力が切れることなくあっという間の2時間半だった。
今回学んだことをさっそくプロジェクトで活かし、より良いデザインを提供できるよう努力したい。