アプリUI 仕事の進め方

2-5. ユーザーリサーチ

執筆 野上 恵里
コンサルタント
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BtoBウェブアプリケーションのリサーチの特徴

ユーザーファーストのシステムやサービスを提供するためには、ユーザー体験からニーズをつかむユーザーリサーチが欠かせません。UXを重視する企業では積極的に実施され浸透していますが、世に出回っているリサーチのノウハウは生活者を調査対象としたものがほとんどです。

対象が生活者であっても企業内のビジネスパーソンであっても、リサーチの総論は変わりません。しかし具体的な手法については、ターゲットなどの前提が変わるとそのまま使うことが難しくなります。企業内で使われるBtoBのウェブアプリケーションも、生活者向けのユーザーリサーチとまったく同じというわけにはいきません。

BtoBのウェブアプリケーションの場合、対象者が社内の限定的なユーザーとなり、インターネットリサーチのような手法は取れません。そもそも対象者が極端に少ないと、定量分析に適さないことも多いです。そのためBtoBのウェブアプリケーションでは定性的なリサーチが中心となりますが、そのやり方や勘所も、生活者を対象とする場合とやや異なります。

そこでベイジでは、BtoBウェブアプリケーションを対象としたリサーチの手法を確立しています。国際標準(ISO 9241-210)でも定義されている人間中心設計を基本としたリサーチ手法にもとづき、プロジェクトやアプリケーションの特性に合わせて最適なリサーチプロセスを提案します。

BtoBウェブアプリケーションでリサーチが必要な理由

ウェブアプリケーションの開発はSIerやシステム開発会社が担当することがほとんどです。SIerやシステム開発会社の多くはウォーターフォール型の開発ワークフローを採用しており、プロジェクト序盤にある「要件定義フェーズ」においてユーザーニーズを想定した要件を整理します。「要件定義書」「機能要件定義一覧表」といったドキュメントがそれに該当します。

しかし、SEやエンジニアが作成するこれら要件定義関連のドキュメントには、多くの場合、以下のような問題が含まれます。

顕在ニーズしか考慮されていない

要件定義関連のドキュメントには、問題の解決手段や機能のみが書かれることがほとんどです。しかし要件定義を担当するSEやエンジニアの多くは、UXの専門家ではありません。ユーザーニーズを明らかにするためのユーザーリサーチが行われず、簡単なヒアリングから導いた要件で設計〜開発をした場合、潜在ニーズに応えないシステムになります。

ニーズの優先順位が加味されていない

ユーザーニーズが考慮されない要件定義では、主にコストや開発実現性で開発の優先度を評価することが多いです。しかし、このように開発側の都合で優先順位を決めると、当然ながら実際にシステムを使うユーザーとって不満の多いシステムになりやすいです。

このようなユーザー不在の要件定義によって発生する問題を解決するために、ユーザーリサーチは活用できます。

ユーザーリサーチについては、以下のページでより詳しく解説しています。

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