アプリUI 仕事の進め方
3-4. アイディエーション
ユーザーリサーチの結果から明らかになった課題やインサイトをもとに、機能レベル・画面レベルで改善のアイデアを洗い出します。お客さまを交えてアイデアを出す場合はワークショップを企画し実行します。
アイディエーションの基本的な実施方法は、ペルソナとジャーニーマップの作成を通して洗い出された課題に対して、改善アイデアをジャーニーマップの時系列順に出していきます。
アイディエーションのワークショップでは、関係者が一堂に会して改善のアイデアや問題解決方法を議論します。参加人数は5〜40名まで様々ですが、人数が多い場合は4〜5人で1つのチームを構成して議論し、チーム間でアイデアを順番に話しながらフィードバックします。この進め方はラウンドロビン方式といいます。一度のワークショップで議論が収集しない場合、複数回にわたって実施することもあります。
最近ではMiroなどのホワイトボードを活用してオンラインでもワークショップを行い、より多くの関係者が参加できるようにしています。
ワークショップの大きな目的は2つあります。1つは有益な問題解決法を導き出すことです。グループで2時間のブレインストーミングをすると、1人では出すことのできない量のアイデアが出てきます。これこそワークショップ最大の効果といえるでしょう。
もう1つは、関係者間の目線合わせです。改善方針がどのような経緯で導き出されたのか関係者が把握できていると、プロジェクトが進行した時にバラバラな視点からフィードバックが来て混乱するリスクを減らせます。
ワークショップの実施には、以下のサブタスクが発生します。
- 参加者の選定
- 会場の手配
- 進行計画
- ワークショップの実施
- アイデア評価
それぞれ解説します。
1. 参加者の選定
ワークショップはお客さまにも参加いただくことをおすすめしています。お客さまとの窓口のプロジェクト推進者だけではなく、エンドユーザーに近い部門担当者もご参加いただけるよう依頼することが多いです。例えばSaaSであれば、カスタマーサービス、カスタマーサクセス、営業部門の方などです。
開発担当者にも参加いただくとさらに効率的です。ワークショップで出てきたアイデアについて、おおよその実現性やコストがその場で分かればプロジェクトの改善範囲をある程度絞ることができるからです。しかし中長期的な施策アイデアを出すことが目的である場合は、システム制約を加味するとアイデアの幅が狭まるため、状況に応じて参加要否を決めます。
参加者が多くなり4〜5名のチーム分けをする場合、ベイジのメンバーが各チームに参加しファシリテートします。
2. 会場の手配
オフライン開催で参加人数が多い場合は、お客さまのオフィスの会議室をお借りして開催するため、お客さまに事前の手配をお願いします。人数が限られている場合はベイジのオフィスでも実施可能です。
オンライン開催の場合はMiroなどのオンラインホワイトボードツールを利用して実施します。お客さまには事前にツールのアカウントを作成いただきます。
3. 進行計画
ワークショップはアイデアを出すべきユーザーフローの範囲により時間は様々です。範囲が広く、長時間開催する場合、参加者の集中力を維持するために2時間枠で複数回などの予定を組みます。さらに全体の細かいプログラムと各プログラムの時間割を設定します。
プログラムは以下の構成を基本とします。
- ワークショップの全体像とゴールの説明
- アイディエーションの心得の説明
- 参加者の自己紹介
- アイスブレイク
- アイディエーション
- アイデアの振り返りとグルーピング
- アイデアの投票
不慣れな参加者でもアイディエーションがスムーズに行えるように、場を温めるためのプログラムを取り入れています。アイディエーションの心得では、「他人のアイデアを否定しない」「アイデアの質より量にこだわる」など、参加者がアイデアを出しやすくするための秘訣を説明します。アイスブレイクでは、アイディエーションワークに慣れていない参加者のために、簡単なお題でアイデアを出し付箋に書き出して試します。
アイディエーションでは、参加者とジャーニーマップの内容をたどりながら、各タスクに対する課題やユーザーの心理をふまえてアイデアをだします。アイデアはシンプルに付箋に書くことがほとんどですが、場合によってはKA法をベースとしたアイデアカードを活用することもあります。
アイデアの数があまり出てこないという懸念がある場合や、アイデアの量を必要する性質のプロジェクトでは、アイデア出しの後にオズボーンチェックリストやブレインライティング法などのアイディエーション手法を用いてアイデアを発散する計画とします。
4. ワークショップの実施
予定に合わせてワークショップを開催します。計画通り進行することを前提としますが、進捗やさらなる深堀りが必要だと判断した場合は、時間配分の変更や延長を調整する可能性もあります。
5. アイデア評価
でてきたアイデアはKJ法を用いて機能グループ別におおまかに分類します。ワークショップで行ったアイデア投票の結果も加味しますが、最終的には以下の軸でアイデアを評価し、改善方針の対象とするトピックの選定に役立てます。
- ユーザーの価値(効率化、ミス防止)
- ユーザーの範囲(対象ユーザーの人数)
- 実現コスト
- 技術難易度