アプリUI 仕事の進め方

2-5-3. As-Isユーザー仮説設定

執筆 野上 恵里
コンサルタント
読了時間の目安
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現行アプリケーションに関わるユーザー関連図やユーザーフローを定義します。この時点ではインタビューなどのリサーチ前のため仮説が多く含まれますが、その後のリサーチを計画する上で重要なインプットとなります。

ユーザー関係図の作成

ターゲット単独の行動で完結することが多い生活者向け商材と異なり、BtoBウェブアプリケーションはさまざまな関係者との連携の中で使われることが多いです。そのためエンドユーザーだけに焦点を当てたリサーチだと、根本的なニーズや課題が見えてこないことも多々あります。

そこで、ユーザーフローの整理だけではなく、エンドユーザーの関係者も洗い出しましょう。たとえば、ある金融機関の窓口業務で使われる業務システムでは、エンドユーザーは窓口担当ですが、業務プロセスを理解するためにはバックヤードの事務担当、レビュー担当、営業担当など、各関係者へのヒアリングも必要です。

エンドユーザーの関係者の洗い出し

また、より重要な課題に焦点を絞るために、どういう属性のユーザーをメインターゲットにするかを決めることも重要です。たとえば先ほどの例であれば、同じ窓口業務担当であっても、都市部大型店舗or地方小型店舗、新人orベテランでセグメントし、リサーチ対象としての優先順位を決めます。

メインターゲットのセグメント

ユーザーフローの作成

ここまでのリサーチで分かった内容をもとに、現行アプリケーションでのユーザーフローを定義します。このユーザーフローは、UXデザインで活用するカスタマージャーニーマップをアレンジしたベイジ独自のテンプレートです。このテンプレートには、各ユーザーフローでのタスクのキッカケ、ユーザー心理、手順、欲しい情報、情報の入手先、対象アプリケーションの役割、問題点を網羅的に書けるようになっています。

ネットショップの受注業務に関するユーザーフロー
ネットショップの受注業務に関するユーザーフロー

ユーザーフローを作成するに当たり、お客さまからご提供いただくマニュアルなどにフロー図が記載されていることもありますが、実態と異なっていたり、内容が抽象的だったりするため、リサーチの事前情報として活用できるケースは少ないです。そのため、既存のフロー図は参考程度とし、実態を改めて整理します。

ウェブアプリケーションが大規模でカバーする機能範囲が多い場合、すべてを整理することが難しいため、改善の効果が見込まれる以下に的を絞って整理をします。

  • お客さまが特に課題に感じているフロー
  • ユーザーの利用頻度の高いフロー
  • 業務ミスが許されないフロー

これらは本格的なリサーチ実施前に作成するため仮説も多く、最終的にはリサーチの結果を踏まえて最新化することになります。各タスクごとに不明な事項、確認すべき事項はユーザーフローの各タスクの箇所にメモを残しておき、以降のリサーチにおける確認ポイントをお客さまと事前に認識を合わせておきます。

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