ウェブ制作 仕事の進め方

2-3. ワークショップ

執筆 大舘 仁志
コンサルタント
読了時間の目安
8

プロジェクトの関係者が一堂に会し、ビジネスの目的やターゲット、問題解決のアイデアを議論しながら共同作業する場を、ワークショップと呼んでいます。

ワークショップの目的は大きく2つあります。1つは有益なアイデアを導き出すことです。グループで2時間ほどのブレインストーミングを中心としたワークを行うと、1人では生み出せない膨大な量のアイデアが出てきます。これこそ、ワークショップを実施する最大のメリットといえるでしょう。

もう1つは、関係者同士の認識合わせと関係性作りです。日頃は会話をすることがない立場が異なるメンバーが、1つのテーマについて話し合うことで認識の齟齬に気づき、お互いが相手の立場を理解して、同じ目線で物事を考えられるようになります。

このような認識合わせと関係性作りを事前にしておくことで、ウェブ制作のプロジェクトが進行した際に、異なる視点から異なる意見が飛び交い、プロジェクトが混迷していくような事態を、未然に防止します。

ワークショップの参加人数が多くなる場合には、4~6名のチームに分けて、チームごとに議論した後にチームごとに意見交換をする、ラウンドロビン方式を採用することが多いです。一度のワークショップで議論が収束しない場合、複数回にわたって実施することもあります。最近はオンラインで実施することも増えています。

ワークショップの実施には、以下のようなサブタスクが発生します。

  1. テーマ選定
  2. 参加者の選定、会場の手配
  3. インプット情報の整理、進行資料の作成
  4. ワークショップの実施
  5. アイデアの取りまとめ

1. テーマ選定

基本的にはお客さまとの協議や調査を通して最適なテーマを決めていきますが、以下のテーマで実施するケースが多いです。

BtoBサイト

企業・商材の強みの整理、メッセージング、コンテンツのアイディエーションをテーマとするケースが多いです。逆に少ないのは、ペルソナの作成です。商材特性によりますが、BtoBの場合はペルソナが多岐に渡るため、ペルソナの作成やペルソナを活用したアイデア発想が効率的ではないことがあるためです。

採用サイト

ペルソナ作成、コンテンツのアイディエーションの2つが基本です。お客さまの社内でターゲットや求める人物像を明確に言語化できていないケースも多いため、ペルソナ作成から実施することが多いです。ターゲットのキャラクター性が多様、または関係者で明確になっている場合は、コンテンツのアイディエーションを中心にします。採用サイトでは、求職者の興味に対して多様な情報を発信する・情報量を用意するのが基本的な成功法則となるため、コンテンツのアイディエーションを重視してワークショップを進めます。

コーポレートサイト

コンテンツのアイディエーションをテーマにすることが多いです。コーポレートサイトは訪問するステークホルダーが幅広いため、個別のペルソナ作成に時間は割かず、各ステークホルダーに対して有効な情報のアイディエーションを重視するケースが多いです。

2. 参加者の選定、会場の手配

ワークショップのテーマ次第ですが、部署・職種・年次など幅広い属性のメンバーに参加してもらうケースが多いです。基本的には1グループ最大4~5名程度で構成します。経験則として、それ以上の人数になると発言しにくい人などが出てくるためです。

チーム分けに関する考え方は、大きく2つあります。

  • 日常的に距離が近く話しやすいメンバーで構成
  • 異なる視点を持っているメンバーで構成

ワークショップの目的はアイデアの発想となるため後者の方が理想的ですが、場が温まりにくく、ワークが活性化するまで時間がかかる可能性もあります。オンラインワークショップの場合、このリスクがより高まる傾向にあります。そうした特性を踏まえてお客さまと協議し、参加者・チーム分けを決定します。

3. インプット情報の整理、進行資料の作成

ワークショップと並行して進めている戦略ディスカッションの内容を踏まえて、参加者が前工程の認識合わせができるような進行資料を用意します。お客さまはウェブの専門家ではないため、ウェブサイトという媒体に限定せず自由なアイディエーションができるような進め方を検討します。

オンラインワークショップの場合、さらに以下の準備が必要です。

模造紙・付箋の代替サービスの環境準備

ベイジでのオンラインワークショップでは、miroを活用することが多いです。ワークショップの内容に合わせて事前にボードや付箋を用意するなど、ワークショップ時の操作が少なくなるように工夫します。

オンラインミーティングサービスの環境設定・リハーサル

Zoomのブレイクアウトルーム機能を使用して、チームごとにルームを設けてディスカッションできる環境を用意します。お客さまによっては上の機能を使用するのが初めての場合もあるため、事前にお客さまの担当者とリハーサルを実施することもあります。

4. ワークショップの実施

テーマ次第ですが、オフラインの場合は2時間、オンラインでは2時間半程度で実施します。長時間だと日程の調整が難しく、参加者の集中力が切れるリスクもあるため、上記の時間内で内容がまとまらない場合は、別日に分割して実施することが多いです。

オンラインワークショップでは、オフラインに比べるとmiroやZoomの操作などに余分な手間が発生するため、少し長めに時間を確保します。

ワークショップ当日は、全体のファシリテーターが1名、各チームごとにベイジのメンバーが1名つき、ワークをフォローします。チームごとのディスカッションはお客さま自身が中心になって実施します。ベイジのメンバーは、ディスカッションが停滞したり、方向性がズレたりした際にサポートします。

5. アイデアの取りまとめショップの実施

ワークショップ終了後は、ベイジでアイデアの整理、評価をします。コンテンツ、メッセージ、デザイン、機能などアイデアの種別と、アイデアの実現難易度、想定される効果の軸でアイデアを仕分け、その後のサイト改善の提案時の判断材料のひとつとします。

アイデアシート

オフラインワークショップとオンラインワークショップの違い

テレワークやハイブリッドワークを実践しているお客さまの場合は、ワークショップをオンラインで実施するケースも増えています。弊社の経験則では、オンラインワークショップもやり方を工夫すれば、オフライン同等の密度・質のワークができると考えています。

オフラインの様子
オンラインの様子

そのためには以下の点について配慮する必要があります。

事前準備を徹底する

参加者が多数のワークショップでは、ワークショップに使用するサービスにログインできないなど、オフライン時は存在しなかった点でトラブルが発生して、進行に支障がでることがあります。

付箋紙の移動・整理を必要最低限にする

オフラインのワークショップに比べると、あとから付箋を移動、まとめるなどの作業にどうしても時間がかかります。1つ1つの作業はごくわずかなものですが、ワークショップの時間を圧迫する要因となります。

話しやすいメンバーでチームを構成する

オフラインワークショップと比較すると、普段からコミュニケーションをとることが少ないメンバーを同じチームにした場合ディスカッションが活性化しにくい傾向にあります。

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