ウェブ制作 仕事の進め方

2-4-4. チャネル

執筆 枌谷 力
代表取締役
読了時間の目安
7

戦略フェーズはここまで、「企業」「顧客」「商材」と、主にウェブサイトに掲載するコンテンツの内容に影響する前提条件を整理していきました。この「チャネル」からは、ウェブサイトのコンテンツのどのように誘導するのがいいか、ナビゲーションに影響する前提条件を整理していきます。

具体的には、以下のような切り口で議論を行っていきます。

  1. マーケティング施策の全体設計
  2. 情報取得タイプの整理
  3. 動線シナリオの設計
  4. アイデアの整理

1. マーケティング施策の全体設計

サイトリニューアルの提案依頼書を拝見すると、「ユーザー数の増加」が目標として設定されていることがあります。このような時に私たちは、どのくらい理解した上でその目標を設定しているのか確認します。ほとんどの場合において、ウェブサイトに対する誤った期待を持っていることが分かります。

端的に言えば、ウェブサイトをリニューアルするだけでユーザー数が増加することは稀です。あるとすれば、SEOに強くなることで、検索エンジンから流入するユーザーが増えるケースです。しかし多くのBtoB企業のウェブサイトでは、このようなSEO上の大きな変化を期待するのは難しいでしょう。そのため、ウェブサイトをリニューアルするだけでユーザー数が増加することを期待するのは現実的ではない、という結論になります。

これは、マーケティングの全体像とプロセスが見えていれば容易に分かることです。顧客の購買プロセスにおいて、ウェブサイトは中継地点に過ぎません。ウェブサイトで認知をするわけではないし、いきなりウェブサイトを開いてそこで商材を知るわけでもありません。つまり、ウェブサイトの外で認知施策をせずに、ウェブサイト単体のリニューアルだけでユーザー数が増えることは、起こりにくいということです。逆に認知施策を行えば、ウェブサイトをリニューアルしなくても、ユーザーが増える可能性はあります。

このような誤解をしないためにも、マーケティング施策の全体像の設計は不可欠です。私たちは、以下のようなファネルを用いて、ウェブサイト以外のマーケティング&セールス施策を洗い出し、どれがウェブサイトの流入経路になり得るかを明確にします。

また、ファネルを整理した後に、以下のようなマーケティングとセールスにおける顧客行動シナリオを整理して、ウェブサイトの役割を明確にすることもあります。

このような整理をすることで、マーケティング上のウェブサイトの役割が明確になり、どのチャネルを刺激すればウェブサイトへの流入が増えていくか、より正確なイメージが持てるようになります。

2. 情報取得タイプの整理

戦略フェーズの中では、顧客企業タイプ、DMU、心理ペルソナなど、様々な視点から顧客の分類を行ってきました。こうした複数の視点から顧客をグルーピングするのは、より網羅的にコンテンツを発案するためです。

そしてこのチャネルのパートでは、コンテンツではなく、ウェブサイトのナビゲーション設計を行うために、情報取得タイプ別のユーザーの分類を行います。世の中のBtoB企業のウェブサイトでは多種多様な商材が取り扱われ、それを求める顧客の属性も様々ですが、ユーザーの情報取得行動という観点では、5~6種類に絞られます。

以下がその代表的なパターンです。

1. 指名検索・フォーム直行型
指名検索でホームに訪問し、そのままフォームに直行する。最初から問い合わせする気でウェブサイトに来ているユーザー。

2.指名検索・回遊型
指名検索でホームに訪問し、欲しい情報がないか回遊する。興味は持っているが、確信は持ててないユーザー。ウェブサイトの作りが成果に一番影響を与えるユーザーでもある。

3.指名検索・コンテンツ特定型
指名検索でホームに訪問するが、見たい情報がある程度決まってる。会社情報だけを見る意思決定者、イベント情報だけ見る参加者など。

4.一般検索・偶然訪問型
検索をしているとヒットし、下層ページにたまたま訪問する。社名認知していない可能性があるユーザー。ただし顧客化の確率が低いユーザーもである。

5.メディア消費型
SNSで面白い記事を発見し、オウンドメディアに訪問する。潜在層ではあるが、可能であれば接点を持ち続けたいユーザー。

6.URL共有型
社内チャットやメーマガジン等で特定のURLだけが共有されて訪問する。口コミで推薦された、既にリード化しているなど、成約率高めのユーザー。

今回のウェブサイトでは、このうちどのユーザーをターゲットにするかを明確にしたうえで、情報取得タイプ別のウェブ利用のシナリオを次のパートで設計していきます。

3. 動線シナリオの設計

情報取得タイプを洗い出したら、それぞれのタイプごとの代表的な遷移のシナリオを描いていきます。例えば指名検索・回遊型であれば、以下のような遷移になる事が予想されます。

このような理想の動静イメージが掴めると、ウェブサイトとして、どのような作りであるべきかも芋づる式に見えてきます。例えば、以下のような行動の仮説が生まれます。

  1. 口コミや第一想起で訪問しているが、相談するかどうかは迷っているユーザー
  2. 一般的なBtoBサイトにおいて、コンバージョンユーザーの50%を占めている
  3. このユーザーはウェブサイトの出来・不出来の影響を受けてコンバージョンする可能性がある
  4. ホームで何をしている会社かの確認ができないと、戸惑う可能性がある
  5. まず自分が関心を持っていること(例えば価格、会社の特長など)から回遊する
  6. ホームの段階で情報の網羅性・一覧性がある、もしくはそうしたページへの動線が分かりやすく存在する必要がある
  7. 下層ページを縦横無尽に動く可能性があるので、分かりやすく使いやすいグローバルナビゲーションが必要
  8. お問い合わせはしないが、資料は欲しい、というユーザーもいるため、CTAにはお問い合わせと資料DLを併記する
  9. 最終的にコンバージョンするユーザーでも、その訪問では離脱し、再訪問時にコンバージョンする可能性も高い

こうした仮説を元に、ウェブサイトを設計していきます。

なお、ウェブサイトの設計において「ユーザーを絞った方がいい」と誤解されがちですが、実際には、ビジネスターゲットの中で、一人でも多くのユーザーが使えるような設計にすべきです。もちろん、あらゆるユーザー向けに作ることで誰にとっても不便なウェブサイトにしてはいけませんが、代表的な情報取得タイプは網羅できるウェブサイトの設計にしておくべきです。その方が結果的にビジネス貢献する機会が多いウェブサイトになると考えています。

4. アイデアの整理

1~3までのインプットや議論をしながら、ウェブサイトに反映しなければならないアイデアをリストアップしていきます。アイデアは『要求リスト』というスプレッドシートに整理され、ウェブサイトが満たすべき要件となっていきます。

ベイジに問い合わせる
1週間で14件のお問い合わせが入りました 1ヶ月間で100件のお問い合わせが入りました